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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル 書き手紹介 3314 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 16 30 19 ID ???0 遂に完結2周年突破! リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルの書き手紹介! 【渾名】灼熱の英雄王 【トリップ】◆Vj6e1anjAc 【投下数】44作 【代表作】「月蝕・終章」「魔法少女、これからも。(最終回)」 本スレでの連載と並行し、企画最初期からSSを投下し続けた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 繋ぎから熱血バトル、鬱展開と、満遍なく投下数を重ねている。 自らが元SSを連載していたセフィロスのエピソードは、「元SSの続編のようだ」と話題を呼んだ。 【渾名】叡智の司書長 【トリップ】◆7pf62HiyTE 【投下数】38 【代表作】「王の財宝」「Zに繋がる物語」 序盤と中盤の境目あたりから名乗りを上げた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 脳筋共が大暴れする中、着実に考察エピソードを重ね、知能面からなのはロワを支えた。 難しいテーマをめげることなく、コンスタントに投下し続けたその姿勢には、敬意を表したい。 【渾名】非情の殲滅者 【トリップ】◆HlLdWe.oBM 【投下数】38 【代表作】「崩落 の ステージ」「Round ZERO~AMBITION SECRET」 企画が軌道に乗った頃から参戦し、以降終盤まで企画を支えた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 他の書き手達が嬉々としてやんちゃを働く中、こつこつとキルスコアを稼いだマーダー書き手。 地味だが堅実なエピソードが多く、彼もまたこのロワの完結には、欠かせない存在であったと言えよう。 【渾名】光速の竜騎兵 【トリップ】◆gFOqjEuBs6 【投下数】21 【代表作】「タイムラグは30分」「Alive a life」 本スレでの連載と並行し、最初期から企画を支えた書き手。 記念すべき第200話では、エピローグ書き手としてロワを締めくくっている。 本ロワのウェイトを大きく占める、特撮作品への造詣が深く、数多くの印象深いエピソードを投下している。 【渾名】不屈の先駆者 【トリップ】◆Qpd0JbP8YI 【投下数】19 【代表作】「なごり雪」「Little Wish」 企画最初期から参戦し、主に中盤までを支えた書き手。 流れが停滞し始めた頃に、怒涛のごとくSSを重ねた、序盤最大の功労者の1人。 あらゆるジャンルのSSを投下していたが、特に叙情的なエピソードを得意としている。 3315 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 16 32 52 ID ???0 【渾名】荒野の銃撃手 【トリップ】◆jiPkKgmerY 【投下数】10 【代表作】「童子切丸は砕けない」「それでも台風は微笑う。そして奔る」 本スレでの連載と並行し、主に中盤までを支えた書き手。 独特なムードを持ったSSは、読み手の心に深く染み込み、その心を掴んで離さない。 意外とド派手に状況を動かすことも多く、なのはロワ=大量破壊の風潮の先駆けとなった人物でもある。 【渾名】暗黒の破壊神 【トリップ】◆WslPJpzlnU 【投下数】6 【代表作】「盟友」「13人の超新星」 本スレでの連載と並行し、主に序盤に投下を重ねた書き手。 投下数こそ少ないが、1つ1つの文章が、強烈なインパクトを宿している。 暴力的なパワーを持ったバトル描写と、後半で手掛けたなのはロワ最大のどんでん返しは、まさに破壊神の名に相応しい。 【渾名】天道の探究者 【トリップ】◆LuuKRM2PEg 【投下数】5 【代表作】「罪」「解ける謎!」 本スレでの連載と並行し、終盤の展開を支えた書き手。 主に繋ぎを担当することが多く、縁の下の力持ちとして、ラストスパートを支えていた。 必然、投下数は少なくなってしまったが、今後他のロワにおいても、活躍を期待したい。 【渾名】勇気の挑戦者 【トリップ】◆19OIuwPQTE 【投下数】1 【代表作】「魔法少女リリカルなのはBR」 なんと最終回の一歩手前という、大変なタイミングで殴り込んできた書き手。 投下数は僅か1作だが、混戦を見事にまとめ上げ、続く最終回へのバトンを託した。 状況的に相当な勇気の要るタイミングでの参戦に、改めて敬意を表したい。 3352 :やってられない名無しさん:2013/03/01(金) 23 55 33 ID ???0 3314-3315 なのはロワはゲームで「星光の殲滅者」とか「雷刃の襲撃者」とか出てくるからそこから取ったのかと思われる と、2名追加で紹介してみる 【渾名】連環の言葉使 【トリップ】◆WwbWwZAI1c 【投下数】5 【代表作】「お昼ごはんの時間だよ」「Ooze Garden(軟泥の庭)」 中盤から終盤にかけてふっと現れてササッと繋ぎ話を投下した書き手。 一見どれも普通の繋ぎ話に見えるが、実はタイトルがしりとりになるという仕込みを入れている。 終盤でセリフオンリーの話を書いてみたりと、少々変わった言葉の使い方をする繋ぎ書き手である。 【渾名】開幕の遊戯士 【トリップ】◆UOleKa/vQo 【投下数】3 【代表作】「それは最悪の始まりなの」「オタクと吸血鬼とレバ剣と」 本スレでの連載と並行し、記念すべきオープニングを投下した書き手。 投下数こそ少ないものの終盤まで続くスバル&こなたのペアを生み出した事は外せない。 またオープニングで主催者プレシアにロワを「デスゲーム」と呼ばせているのは、遊戯王GXとのクロスSSを書いている氏ならではと言えよう。
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魔法少女、これからも。(後編) ◆Vj6e1anjAc 次元の狭間の闇を、進む。 無限に広がる世界を繋ぐ、次元空間の大海原を、黄金の舟が進んでいく。 最期のスターライトブレイカーが放たれた直後、聖王のゆりかごのレプリカは、次元航行モードへの移行を完了した。 高町なのはの命の輝き――あの桜色のビッグバンが、ヴィヴィオが最後に見た光景となった。 生きざまを、最後まで見届けたのだ。 「っ……う、うぅっ……」 そしてだだっ広い玉座の間では、1人の少女がうずくまり、抑えた嗚咽を響かせていた。 これで本当に独りきりだ。 プレシアのデスゲームからの生還者は、本当に自分1人だけになってしまった。 想いを汲み取ったはずなのに。 それがなのはの心からの願いだと、納得した上で撤退したはずだったのに。 それでも涙が止まらない。 悲嘆と後悔と自責の涙が、次から次へと溢れ出す。 「強くなりたい」という願いは、母の末路を見たことで、半ば折れかかってしまっていた。 「どうして……どうして、こんなっ……!」 強くなると決めたはずだった。 この手の届く限りの命は、守りたいと願ったはずだった。 それは今でも変わらない。変えることなどあり得ない想いだ。 最愛の母が死を選んだのは、自分の力が足りなかったから。 ガジェット達に苦戦して、帰還する余力を失ったのは、これまでのなのはの戦いを、助けてやることができなかったから。 きっとキングとの戦いで、ブラスターモードを使っていなければ。 コーカサスアンデッドとの戦いの時点で、既に助太刀に加わっていたならば。 いいや、なのはだけではない。金居との戦いへの参加が早ければ、ユーノの消耗も抑えられたはずだ。 そうなればもっと余裕をもって、ガジェット達に対処することができただろう。 ブラスター3を解放したのがあの場だったなら、ナンバーズさえも撃退できただろう。 つまるところ、自分が不甲斐なかったから、なのは達は死を選ばざるを得なかったのだ。 弱いのだ、私は――ヴィヴィオは。 「こんなはずじゃ、なかったのに……っ!」 痛みと嘆きは連鎖する。 最愛の母を喪った苦痛は、新たな苦痛を呼び起こす。 この30時間の戦いの中で、あまりに多くの命が喪われてしまった。 燃え盛る地獄の業火に焼かれ、命を落としたというルルーシュとシャーリー。 目の前で死んでいったもう1人のフェイトと、死体を嬲ってしまったキャロ。 少し怖い顔をしていたけれど、一度は自分を救ってくれた、浅倉威という男。 怒りに狂った自分の手で、命を奪ってしまった相川始。 こなた、スバル、リイン……共に生き残るために頑張ってきた、かけがえのない仲間達。 その他大勢をも含めた、60人をも超える命。 それら全ての重圧が、ヴィヴィオの双肩へとのしかかってくる。 何故だ。 何故彼らは死ななければならなかった。 こんな殺し合いさえなければ、普通に生きられたはずだったのに。 この殺し合いから出られれば、暖かな日常へと帰れたはずなのに。 自分が弱い子供でなければ――そのうちの何人かは確実に、この手で救えたはずなのに。 こんなはずじゃ、なかったのに。 「……?」 その、時だ。 不意に、目の前が明るくなった。 がらんどうの玉座の間に、淡く青白い光がともったような気がした。 否、光っているのは部屋ではない。 光っているのは自分自身だ。 漆黒と純白の騎士甲冑が、いつの間にか、淡い光を放っていた。 「あっ」 ぽぅ、と光が指先から離れる。 追いかけるように伸ばした手から、全身の光が離れていく。 青く白く光る何かは、数メートルほど漂ったのち、自分の目の前に留まった。 いつからそこにあったのだろうか。 そこに静かに浮いていたのは、2つの青い宝石だった。 光は宝石のもとに集まって、少しずつ形を変えていく。 不定形の青い光が、少しずつ輪郭をなしていき、2つの個体へと変わっていく。 「なのは、ママと……フェイトママ……?」 光の中から現れたのは、高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。 ちょうどもう1人のフェイトのような――自分の知る2人の母よりも、随分と年下の幼い姿だ。 本来の自分の姿よりも、いくつか歳は上だろうか。昔何かの折で見た、9歳くらいの頃の姿が近いかもしれない。 「貴方達は、一体……?」 それでも、自分の知る彼女らとは別人だ。 目の前の2人が纏う衣装は、9歳当時の彼女らのそれとは、微妙に異なったデザインとなっていた。 なのはのバリアジャケットは、先ほどまで自分の母が着ていた、エクシードフォームを思わせるものに。 フェイトのバリアジャケットも、大きな違いはないものの、より装飾が大人しいものに変わっていた。 《私達はジュエルシード……古の人々の願いと共に、この世界に生まれた結晶体》 「ジュエル、シード……?」 ヴィヴィオに微笑みかける幼いなのはは、自分達のことをそう名乗った。 確かそれは、かつてなのは達が回収していたという、ロストロギアの名前だったはずだ。 もちろん、そんなものを持った覚えはない。 そのジュエルシードとやらが、このゆりかごに現れた理由は、皆目見当もつきそうにない。 《かつてプレシア・テスタロッサが、虚数空間の海へと落ちた時、 私達9つのジュエルシードもまた、道連れに次元の狭間へと沈んでいった》 《アルハザードの周囲を漂っていた私達は、貴方の放つジュエルシードの気配に引かれて、貴方のもとへやってきた。 そしてこの姿は、貴方の心の中にある、想いの形を具現化したもの》 《貴方とお話をするために、貴方の心の中から借りた、貴方の強い想いの形》 代わる代わる言葉を紡ぐ、なのはの幻とフェイトの幻。 そこに浮かんだ穏やかな笑顔は、思い出のそれと変わらないのに。 その口から放たれる懐かしい声色は、思い出のそれと違わないのに。 その事務的な口調には、人としての温もりを感じられず、どこか歪な印象を受ける。 本当に目の前に立っているのは、ただの幻に過ぎないのだと、否応なしに思い知らされる。 「……強くなんて、ないよ」 ゆらり、と金のサイドポニーを揺らし。 ルビーとエメラルドの光を地へ向けて。 目の前の幻が言い放った何気ない言葉に、ヴィヴィオは己が顔を俯かせて、呟く。 「私は強くなんてなかった……私のちっぽけな想いなんかじゃ、結局誰も、救えなかった」 罪を懺悔するかのように。 頭を垂れた聖王が、言った。 強くなりたいという誓いは、結局死の運命を打倒できなかった。 手が届くところにあったはずの命にさえ、手を伸ばすこともできなかった。 何も救えなかった自分が、そんなに強いはずがない。 何も守れなかった想いが、強いだなんて言えるはずもない。 《信じて》 それでも。 目の前の幻が口にしたのは、そんな言葉だった。 《魔法は胸の内に込められた力を、具現化させて解き放つ力……人の想いを形にした力》 《だからこそ、魔力の結晶である私達には、人の想いを叶える力が備わった》 《「死んでいったみんなのためにも、強くなって生き続けたい」…… ……他の誰でもない、貴方の強い想いの力が、私達を呼び寄せた》 《たとえ今は弱くとも、その想いが貴方を突き動かすのなら、貴方はもっと強くなれる。 貴方の抱く強い想いを、魔法は決して裏切りはしない》 これはヴィヴィオはおろか、全ての参加者が知り得なかったことだが、 ジュエルシードによって張られたフィールドにいた参加者達は、 少なからず、ジュエルシードの性質を持った魔力を、その身に浴び続けていた。 それが2つのジュエルシードを、ヴィヴィオの下へと招いたのだが、彼らはそれだけでは足りなかったと言った。 ヴィヴィオの強い願いの力こそが、彼らをこの舟へ引き寄せたのだと。 ヴィヴィオの強い想いの力こそが、奇跡の力を呼び寄せたのだと。 『ヴィヴィオ』 不意に、少女の首元から声が響いた。 明滅する空色の宝石は、インテリジェントデバイス・マッハキャリバー。 この30時間の戦いで散ってしまった、スバル・ナカジマの相棒だったデバイスだ。 そういえば今この瞬間まで、半ば存在を忘れかけていた。 ここまでずっと自分を支えてきてくれた、大事な仲間の1人だったというのに。 『以前、私は相棒に、こんなことを言ったことがあります。 貴方が私に教えたもの……私の生まれた理由、貴方の憧れ……それを嘘にしないでほしい、と』 「あ……」 『一度起きてしまったことには、もう取り返しはつきません。 それでも貴方には未来があります。同じことを繰り返さないよう、努力するチャンスが残されています。 生きて責任を果たすこと……生きて帰って、強くなると約束したこと…… Ms.なのはに誓った貴方の想いを、嘘にしないでください』 そうだ。 マッハキャリバーの言うとおりだ。 殺し合いのフィールドを発つ前に、ユーノが言っていたことを思い出す。 この戦いを生き延びた自分達には、果たさなければならない責任があるのだと。 喪われてしまった多くの命に、報いなければならないのだと。 高町なのはの死を看取るまでが、自分に課せられた責務ではない。 まだやらねばならないことが残っていたのだ。くよくよしている暇はなかったのだ。 ――だから私は、ヴィヴィオに“これから”を託せるの。 なのはママの遺言が、胸の奥深くで木霊する。 自分で進むと決めた道を、貫き通せるのだと信じているから、未来を託すことができるのだと。 自らの進む道を選択し、それを最後までやり通す意志。それこそがジュエルシードの言う、想いだ。 誰よりも強く優しいママに、太鼓判を押してもらった――信じられると言われた、想いだ。 「……分かったよ」 俯いていた顔を、上げる。 聖者の印と謳われたオッドアイで、確たる意志と共に、前を見据えた。 身を屈ませた後悔の震えは、今はもうその背中にはなく。 涙に滲んだ赤と緑は、色鮮やかな光を放つ。 「なのはママがそう望んだのなら……私は生きてみようと思う。 それが、強く生きるって約束した……ひとりで立てるって宣言した、私の責任なんだから」 この30時間の戦いで、ヴィヴィオは多くの死を背負った。 肉体年齢6歳という、あまりにも幼いその背中に、あまりにも重いものを背負い込まされた。 それでも、彼女は生きることを望んだ。 過去に悲嘆する道ではなく、未来へと続く道を選んだ。 彼女も怖かったはずなのに、それでも自分を励ましてくれたシャーリーのように。 スバルやシャーリーを守り抜かんと、懸命に戦ったルルーシュのように。 戦う力を持たずとも、弱いなりに自分を支えようとしていたこなたのように。 そして何より、あの高町なのはのように。 強き想いを力へと変え、母の望む生き方を、その力で為さんと決意したのだ。 ならば、祝福すべきだろう。 ヴィヴィオが選択した道が、結局はなのはが指し示した道だったとしてもだ。 この歳で完全に自立しろというのは、それこそ酷な話だろう。それはこの先少しずつ、ゆっくりと成長しながら果たせばいい。 それでもヴィヴィオは今日この日、責任を背負うということを知った。 こうして幼かったヴィヴィオは、ほんの少しだけ、大人になった。 《願いを聞かせて、高町ヴィヴィオ》 《貴方の望む想いの形を……本当の気持ちを、私達に教えて》 目の前の幻影が語りかける。 願いを叶えるジュエルシードが、叶えるべき願いを問いかける。 「ゆりかごの針路を、ミッドチルダに……私を元の世界へ連れて行って」 確たる口調で、宣言した。 かつてプレシア・テスタロッサは、21個のジュエルシードに、娘の命を願ったという。 されどヴィヴィオが選ぶのは、死した母の蘇生ではない。 命よりも大事な願いを、なのはは自分に託したのだ。 ならば彼女から託された願いは、喪われた彼女の命以上に、優先させるべき願いだ。 《その願いを、叶えよう》 願いを聞き届けた幻のなのはは、無機質な声と共に、にこやかに微笑む。 自分が聖王化していたのもあって、身体の大きさが完全に逆転していたのが難点だったが。 それでもそこにあった笑みは、これまで愛してやまなかった、最愛の母の笑みそのものだった。 《貴方の望む道筋は、私達の力で切り拓いてあげる》 《どれだけ時間がかかろうとも、どれだけの壁に阻まれようとも、私達が必ず送り届ける》 ぽぅ――と。 その一言を言い終えると同時に、2人の幻に陰りが生じた。 青白い光から生まれた幻が、少しずつその輪郭をぼかしていく。 幻影の不透明度が落ちていき、少しずつ虚空へと溶け込んでいく。 さらさらと四肢の端から零れるのは、蛍のごとき青い光。 ジュエルシードの煌めきが、ゆっくりと霧散していって、聖王のゆりかごを包んでいく。 《あとは貴方次第だよ――高町ヴィヴィオ》 それが最後の一言だった。 その一言を言い終えると同時に、2人の幻は姿を消した。 玉座の間に静寂が訪れる。 だだっ広い空間の中で、人影がまた1人きりになる。 胸の内へと訪れるのは、ほんの少しばかりの寂寞。 「……帰ろう、マッハキャリバー」 それでも、少女の瞳に涙はなく。 晴れやかな笑みさえも浮かべて、真っすぐに前を見つめている。 ジュエルシードの幻の、最後の言葉を聞いた時、母に背を押されたような気がした。 まるでなのはママ自身に、エールをもらったような気がして、それだけで満たされたような気がした。 「私達の故郷へ……なのはママと暮らした場所へ!」 その言葉を合図としたかのように、ゆりかごの床が微かに揺れた。 2つのジュエルシードの放つ、青白いオーロラに覆われて。 黄金に煌めく聖王のゆりかごは、未来に向かって出港した。 (私は、もっと強くなる) 強くなって、生き続ける。 この命が続く限り、この身が朽ち果てぬ限り。 死んでしまった人々に報いるために。 ママとの約束を果たすために。 私を守り続けてくれた、世界一大好きなママの生涯が、無駄ではなかったことを証明するために。 未来へ続くこの道を、私は胸を張って歩き続ける。 そう。 私の行く道は終わらない。 私の道は、これからも――。 ◆ リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル・最終戦績報告 1日目・深夜 エリオ・モンディアル :柊かがみのミラーモンスターにより死亡 ギルモン :八神はやて(StS)のツインブレイズにより死亡 ティアナ・ランスター :シグナムのバスターソードにより死亡 神崎優衣 :キース・レッドのグリフォンにより死亡 1日目・黎明 殺生丸 :自身の蒼龍破により死亡 シグナム :柊かがみのヘビープレッシャーにより死亡 アグモン :アーカードの手により死亡 クロノ・ハラオウン :アーカードのパニッシャーにより死亡 1日目・早朝 矢車想 :エネルの鉄矛により死亡 カレン・シュタットフェルト :ミリオンズ・ナイブズのエンジェルアームにより死亡 高町なのは(A s) :ミリオンズ・ナイブズのエンジェルアームにより死亡 ディエチ :ミリオンズ・ナイブズのエンジェルアームにより死亡 ミリオンズ・ナイブズ :キース・レッドのジャッカルにより死亡 1日目・朝 フェイト・T・ハラオウン(StS):ヴァッシュ・ザ・スタンピードのエンジェルアームにより死亡 八神はやて(A s) :アンジール・ヒューレーのアイボリーにより死亡 1日目・午前 ザフィーラ :自身のミラーモンスターにより死亡 アレクサンド・アンデルセン :ルーテシア・アルピーノのイフリートにより死亡 1日目・昼 遊城十代 :柊つかさの手により死亡 武蔵坊弁慶 :ギンガ・ナカジマのプラズマスマッシャーにより死亡 インテグラル・ヘルシング :金居の朱羅により死亡 ギンガ・ナカジマ :金居の朱羅により死亡 ブレンヒルト・シルト :キース・レッドのグリフォンにより死亡 1日目・日中 チンク :柊かがみのミラーモンスターにより死亡 シャマル :セフィロスの憑神刀(マハ)により死亡 C.C. :首輪爆発により死亡 シェルビー・M・ペンウッド :首輪爆発により死亡 1日目・午後 早乙女レイ :ルーテシア・アルピーノのエボニーにより死亡 ルルーシュ・ランペルージ :ルーテシア・アルピーノのイフリートにより死亡 シャーリー・フェネット :ルーテシア・アルピーノのイフリートにより死亡 1日目・夕方 セフィロス :八神はやて(StS)のコルト・ガバメントにより死亡 ルーテシア・アルピーノ :キャロ・ル・ルシエの憑神鎌(スケィス)により死亡 キャロ・ル・ルシエ :フェイト・T・ハラオウン(A s)のオーバーフラッグにより死亡 フェイト・T・ハラオウン(A s) :キャロ・ル・ルシエの憑神鎌(スケィス)により死亡 万丈目準 :浅倉威のミラーモンスターにより死亡 柊つかさ :浅倉威のミラーモンスターにより死亡 浅倉威 :首輪爆発により死亡 エル・ローライト :キース・レッドのグリフォンにより死亡 新庄・運切 :エネルのジェネシスの剣により死亡 ゼスト・グランガイツ :キングのオールオーバーにより死亡 キース・レッド :アレックスのブリューナグの槍により死亡 天上院明日香 :八神はやて(StS)の愛の紅雷により死亡 1日目・夜 アレックス :金居のイカリクラッシャーにより死亡 アーカード :ヴィータのゼストの槍により死亡 ヴィータ :アーカードの手により死亡 1日目・夜中 クアットロ :キングのRPG-7により死亡 ヒビノ・ミライ :アンジール・ヒューレーのバスターソードにより死亡 1日目・真夜中 エネル :金居のデザートイーグルにより死亡 相川始 :ヴィヴィオの魔力爆発により封印 2日目・深夜 (死亡者なし) 2日目・黎明 ヴァッシュ・ザ・スタンピード :八神はやて(StS)の鋼の軛により死亡 泉こなた :八神はやて(StS)の愛の紅雷により死亡 2日目早朝 八神はやて(StS) :柊かがみのルシファーズハンマーにより死亡 柊かがみ :スバル・ナカジマの手により死亡 アンジール・ヒューレー :キングのオールオーバーにより死亡 スバル・ナカジマ :金居のジェネシスの剣により死亡 天道総司 :キングのオールオーバーにより死亡 キング :高町なのは(StS)のレイジングハート・エクセリオンにより封印 金居 :ヴィヴィオのラウズカード(ジョーカー)により封印 【ウーノ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【ドゥーエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【セッテ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【オットー@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【ディード@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡確認】 【ユーノ・スクライア@L change the world after story 死亡確認】 【残り:1人】 ◆ 天の光は全て星。 なべて世はこともなし。 第一管理世界・ミッドチルダの宇宙は、新暦78年を終えようとするこの瞬間にも、平穏無事であり続けていた。 見渡す限りに広がるものは、暗黒よりもなお黒き闇。 漆黒のカーテンに散りばめられるのは、幾億幾兆の星々の煌めき。 どこまでも高く、どこまでも深く。 どこまでも遠く、どこまでも広く。 文字通り無限の容積を持った、光と闇の大海原に、ぽつんと浮かぶ星が1つ。 サファイアのごとく煌めく青と。 エメラルドのごとく映える緑。 生命の色に満ちたその星こそが、ミッドチルダの本星だった。 この色鮮やかな星の中で、多くの命が息づいて。 出会い、群れ合い、親しみ、別れる、大勢の命が生きている星。 漆黒の宇宙空間の中で、一際美しく放たれる輝きは、そこに暮らす人々の、命の活力を表しているのかもしれない。 《――応答願います。時空管理局、応答願います》 そんな無明の宇宙の中に、1つの影が姿を現す。 無音無酸素の宇宙の中で、声を電波に乗せるのは、金色に煌めく大型戦艦。 スラスターも噴かせることなく、無重力空間を漂い続ける、豪華絢爛な舟があった。 眩い陽光が船体を照らす。 ミッドチルダの向こうから、顔を出した太陽の光が、宇宙を黄金色に染め上げる。 気の遠くなるほどの旅路の果てに、目的地へ辿り着いた舟は、 世界そのものに祝福されているかのように、誇らしげな光を放っていた。 《私の名前は高町ヴィヴィオ……高町なのはの娘です!》 新暦79年、1月1日0 00。 新たな年の幕開けと共に、数奇な運命に翻弄された少女が、生まれ故郷への帰還を果たしていた。 【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 生還】 【リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル――――――完】 Back 魔法少女、これからも。(中編) 時系列順で読む Next Beautiful Amulet(前編) 投下順で読む 高町ヴィヴィオ Next Beautiful Amulet(前編) 高町なのは(StS) GAME OVER ユーノ・スクライア GAME OVER ウーノ GAME OVER ドゥーエ GAME OVER セッテ GAME OVER オットー GAME OVER ディード GAME OVER
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目覚めると、そこはベッドの上だった。 「……え、あれ?」 周りを見渡す。ここは――病院? 視界に入ったのは白い天井とたくさんの機械。多分、医療器具だと思う。清潔な白い天井が、そんな印象を与えた。 「ここ、は」 「機動六課隊舎の医務室よ」 「うわ!」 いきなり声が聞こえた。慌てて左側に目を向ける。そこには優しげな目と絹のように白い肌が特徴の、淡い金髪ショートヘアの女性が座っていた。 彼女がこちらの悲鳴を聞き、顔をしかめる。 「そこまで驚くことないんじゃない? こんな美人を見て」 今度はにっこりと笑うが目が笑っていない。 彼女を怒らせるのは、避けた方が良さそうだ。 「で、私の名前はシャマルよ。ここで医務官をしているの。貴方の名前は?」 そこで、自分の名前すら“思い出せない”ことを思い出した。何の救いもないことだが。 「あんた俺の名前は何か、知らないか?」 「……は?」 分かっている。自分でも馬鹿げたことを言っていることくらい。でもこっちも必死なんだ! 「何でもいいんだ。俺のことで何か、俺が誰なのか、教えてくれ!」 「待って落ち着いて。――貴方はもしかして、記憶喪失、なの?」 「……ああ。多分な」 そこで彼女が顎に手を当て、悩みだす。何か心当たりがあるのか。 そうして体を上げようとして気付いた。俺の体が、ベッドに拘束されていることに。 リリカル×ライダー 第二話『カズマ』 「現状を説明すれば、現在貴方は管理局によって拘束されているの。貴方がこちらに対し攻撃を仕掛けてきたから。私達はその理由を、貴方から聞きたいの」 俺に鋭い目を向けつつ、穏やかな口調で語りかける女性。こちらも金髪だが、もっとはっきりした色で、ロングヘアーだ。先端を黒のリボンで纏めている。 ちなみに彼女はフェイトと言う名前らしく、シャマルと名乗った女性が呼んだ人物だ。 「攻撃……ああ、あれか。あれは、その、俺がやったんじゃないんだ」 彼女が目を細める。言い訳に聞こえたからだろう。俺でも、そう聞こえる。だからこそ、言葉を繋げた。 「いや、その、体が勝手に動いたっていうか、自分の意思で動かせなかったというか」 「……分かりました。ではあのデバイスは?」 彼女がため息を吐いて質問を変えた。嘘ではないが、嘘っぽいのは事実だろう。 ただ、デバイスって何のことだ? 「デバイスって、何のことだ?」 思わず口から出た俺の発言に、彼女が初めて表情を変えた。 「へ? デバイスが分からない?」 「デバイスってパソコンの周辺機器だろ? 俺はそんなもの持ってなかったと思うが」 「そっちじゃない!」 彼女がベッドを叩く。ぼふ、という音しか出ない辺りが可愛らしい。 「まぁまぁ、フェイトちゃん。彼は記憶喪失なのよ?」 「嘘かもしれない」 「脳波の検査結果から記憶喪失の可能性は高いわ。それにポリグラフでは嘘じゃないと出てるけど?」 うぅ、と唸って黙るフェイト。彼女はなかなか可愛らしい性格をしているらしい。あんまり尋問には向かないと思うのだが。 「まぁ、リンカーコアも無かったし、魔法は使えないみたいだから」 「でも彼は魔法使ってたよ?」 彼女の台詞から飛び出した魔法という単語。それには流石に引っ掛かりを覚えた。 「おい、魔法ってなんだ?」 一瞬で集まる視線。俺はそんな可笑しなことを言ったか? むしろそっちの台詞の方が可笑しかった気がするが。 「貴方、魔法を知らないの?」 「いや、MP使って火球出すアレだろ。俺は、何でそんなゲームの話をしているのかを聞きたいんだが」 フェイトとシャマルさんが目を合わせる。そして同時に視線がこちらに向いた。 「……もしかして、次元漂流者なの?」 「……何だ、それ?」 聞き慣れない言葉に眉を潜める。次元漂流者って、ただの漂流者とは違うのか? 「シャマル、それは早計だと思う。彼が記憶喪失なら魔法のことも忘れてるだけかもしれないし。だって彼は、魔法でなのはを傷付けたんだよ!?」 いきなり怒り出すフェイト。ん、待てよ。なのはとは、もしや―― 「なのはって、あの茶髪の子か!?」 「な、何っ?」 「無事だったのか? 怪我は? 死んではないよな? 俺は殺したりはしてないよな!?」 彼女に詰め寄ろうとして、失敗する。バンドで縛られているのを忘れていた。 「貴方が傷付けたんで――」 「なのはちゃんは無事よ。今部屋で休んでいるわ」 「そう、か。良かった……」 激昂しかけたフェイトを止めたのはシャマルさんだった。彼女の言葉に、ようやく肩の力が抜けた。 「あなたがなのはちゃんを攻撃したアレが魔法よ。正確には魔法で腕力や脚力を強化してるって感じだったけど」 シャマルさんの台詞で思い出す、あの姿。既視感と違和感を同時に覚えたアレが、魔法? まだ科学と言った方が納得出来るような気がするが。 「あの、もしかして俺が使ってた変な四角い機械がデバイス、ですか?」 「そうね。ちょっと特殊みたいだったけど」 シャマルさんが頷く。多分、魔法なんて聞き慣れないものが使えたのはアレのせいだろう。記憶が無いので自信はないが。 「で、貴方はあのデバイスも自分が使用した魔法も心当たりが無かった。それを信じるとしても、何故なのはを攻撃したかが説明出来ませんが」 フェイトがこちらを睨み付けながら詰問する。視線だけで人が殺せる――ような目が出来る質ではなさそうだが。 「なんか体が勝手に、というか何かに操られているような感じがした。破壊衝動とか闘争本能とか、そんなイメージだった」 あの時、心の中に浮かんでいた栗毛の女性を粉砕するイメージ。あれを拭い去ろうとして、ようやく体の制御を取り戻したのだ。 「本能、かぁ。もしかしたら記憶操作とかを受けている可能性もあるわね」 そこで新たな意見を提示するシャマルさん。 記憶操作って、催眠術とかか? いや、魔法なんてものがあるならそれぐらい出来そうだ。 「でも記憶操作はかなり高度な技術だよ?」 「そうなのよね。出来るとしたらスカリエッティみたいな高度な魔法技術研究者 か何らかの組織、又は優秀な魔導師となるわね」 さっぱり話についていけなくなってきた。 「組織って、エリオをさらった奴らのような――」 「――なぁ、俺にも分かるように説明してくれないか?」 そこでようやく俺の存在を思い出したらしい。二人が驚いた表情でこちらを見ていた。 「ごめんなさい、忘れてたわ」 本当に忘れていたのか……? にっこり笑顔で言ってくるシャマルさんが益々苦手になっていく。 「シャマル、はやてを呼ぼう。こうなったら彼の身元調査から始める。それまで六課に置いてもらえるよう説明しなきゃ」 「はやてちゃんの説得は任せて。フェイトちゃんは心配しなくていいから」 「うん、ありがとう」 そう言って、出ていくフェイト。結局最後まで話が理解出来なかった。 ・・・ 「これは面白いデバイスですよ~、フェイトさん!」 ストレートに流した茶色のロングヘアーを揺らしながらシャーリーが振り向く。 ここはデバイスのメンテナンスを行う部屋。今は私、フェイトと目の前に座っている女性、シャーリーだけがいる。 「シャーリー、それはストレージデバイスなのかな?」 「ちっちっちっ、そんな普通のデバイスとは訳が違うんですよ~」 眼鏡の端を上げながら、何時になく楽しそうに笑うシャーリー。彼女は私の補佐官をしていたけど、どうも機械弄りをしている時だけは苦手だった。いや、今も苦手だけど。 ちなみに彼女の元を訪れたのは、手掛かりである彼のデバイスの情報が欲しかったからだ。 「じゃあ、インテリジェントデバイス?」 「だからフェイトさん、そんな普通の分類が出来ないから凄いんですって」 にこにこ笑いながら箱形のデバイスを弄る彼女。見ていてシュールだ。 けど、今は彼女の台詞の方が気になった。 「分類出来ないって、どういうこと?」 「これはインテリジェントデバイスともストレージデバイスともブーストデバイスとも呼べない代物なんです。もちろんアームドデバイスではないですし、見た通りユニゾンデバイスでもありません」 今彼女が述べたのはデバイスの分類名だ。デバイスは魔法行使を補助するための道具だけど、使う魔法は人それぞれ。だから種類もたくさんある。 簡単に言えば、インテリジェントデバイスが疑似人格によって主人をサポートしてくれるデバイス。 ストレージデバイスは疑似人格を搭載していない一般的なデバイス全般のこと。 ブーストデバイスは補助魔法の使用をサポートする専門的なデバイス。 アームドデバイスはベルカ式という特殊な魔法の使用を補助し、さらには名前通り武器としても使われるデバイス。ちなみに一般的にはミッドチルダ式魔法が使われる。 最後のユニゾンデバイスは魔導師とユニゾンして本人の能力を底上げするデバイス。普段は人の姿を取っている。 「これはですね、ある意味夢のデバイスですよ。何せリンカーコアを持たない人間が魔法を使えるようになる奇跡のデバイスですからね!」 その言葉に、私の思考は止まった。 「待って。じゃあ彼が魔法を使えたのは……」 「このデバイスのお陰ですね!」 シャーリーは満面の笑みで答えた。 「でもどうやって?」 「簡単な話です。このデバイスにはリンカーコアと同様の魔力精製器官が存在するからですよ!」 リンカーコア。それは特定の人物しか持たない魔導師の証だ。あらゆる場所に存在する魔力素を取り込み、魔力に変換する器官。数多の研究者が解明に挑み、しかし未だに多くの謎を抱えている器官だ。 それを、複製出来た人間がいるというのか。 「シャーリー、そんなこと有り得るの?」 「まぁ、目の前にある以上は事実ですから。私だって驚きましたよ?」 シャーリーが眼鏡の端を上げながら小首を傾げる。 確かに、従来のカテゴリーに填められないデバイスだ。 「それってあのスカリエッティでも無理だよね?」 シャーリーが僅かに顔をしかめる。私もあの悪逆非道科学者のことは大嫌いだけど、彼女は別の点で嫌いなのだ。 そう。あの男が、自らよりもずっと研究者として優れていることが。 「彼の専攻は生体工学ですからね。多分無理だと思います。ただ、彼がもしデバイス工学やリンカーコア研究を専攻していたなら、或いは作れたかもしれませんけどね」 口調を固くしながら、でもぎこちなく笑いながら説明する彼女に申し訳ない思いだった。彼の名前を出したのは明らかに私の失敗だ。 「ご、ごめんね、シャーリー。あの男の名前なんか出して」 「気にしないでください。むしろフェイトさんの方が彼の名前出すのは辛いでしょう?」 そう、あの男は私の憎き相手だった。私やエリオのような人を生み出すきっかけを作った男。母さんや多くの人の人生を狂わせた犯罪者。 けど、今ではむしろ感謝していた。 「そうだけど、今は少し違うかな? だって彼がいなきゃ私もエリオも生まれてなかった筈だから」 そう、忌々しいが、彼の人造魔導士技術が私とエリオを生み出してくれたのだ。だから憎んではいるが、同時に感謝もしている。 「……フェイトさんは強いですねぇ。私にはまだ到達出来ない境地ですよ」 呆れ半分、感心半分といった面持ちで、シャーリーは何度も首を縦に振っていた。 ・・・ ジェイル・スカリエッティ事件。略称、JS事件。 今から一ヶ月前に起こった大規模テロ事件の名前だそうだ。 正しく使われていれば歴史に名を残すほどと言われた頭脳を持つ天才科学者ジェイル・スカリエッティが、彼の作品である無人戦闘機械ガジェット・ドローンや戦闘機人などを使ってミッドチルダ首都クラナガンに甚大な被害を出し、果てはミッドチルダを支配しようとした事件である、らしい。 「ちなみにウチらが事件を解決に導いたんやで?」 目の前の、ショートヘアに×印の前髪止めが特徴の女性がそう言った。 先程尋問が終わった俺は、次元世界や魔法、時空管理局などについて習っている所だ。何も覚えていないのか、何も知らなかったのかは分からないが、どちらにしろ知らないなら知っておくべきだと言われて講義を受けている。 ちなみに講義はシャマルさんと目の前の女性がやってくれている。名前は八神はやてと言うらしい。 「そんなテロ事件があったのか……」 「今はクラナガンの復興作業真っ最中や。人手不足やから六課も手伝ってるんよ」 彼女はどうやらこの機動六課とやらの部隊長らしく、自分の正体が割れるまで保護する算段を付けてくれるらしい。 「せやから訓練とかも思うように出来へんから困っとるんよ」 眉を寄せ、表情を曇らせるはやて。どうやら部隊長という職は気苦労が多いらしい。 「もしかしてあの時やってたのが訓練か?」 「なのはちゃん退院祝いでな、何がやりたいって聞いたら訓練やりたい言い出したんよ。あん時はおもろかったわ~」 クスクス楽しそうに笑うはやて。確かに退院祝いに訓練をやりたいなんて言い出したら笑うしかないだろう。下手したら病院に逆戻りだ。 「ま、その結果落とされてベッド送りになっとるけどな」 まるで俺の心を読んだかのような台詞を吐かれ、あまつさえジト目で見られる羽目になった。これは苛めか? 「あれはやりたくてやったわけじゃ――」 「ふふふ、そんな真面目に取らなくてもええやん」 突然態度を翻し、笑い出すはやて。――シャマルさんに続き、彼女も苦手になりそうだった。 「ああ、くそっ! で、講義はそれだけか?」 自分は短気らしい。自分の反応を見てそう思った。 おそらく俺と同じように思ったのだろう。笑みを引っ込め、はやてが申し訳なさそうな表情をした。 「そんなん、怒らんでもええやん。ウチはただ、仲良く話したかっただけなのに……」 「お、怒ってない! これは、その」 そうしてこちらが慌てふためいた途端、はやてが笑い出した。 「ふふ、やっぱおもろいなぁ」 「……おい」 やはり苦手だった。ある意味シャマルさん以上に。 「ん、何?」 「……何でもありません」 ダメだ、やっぱりシャマルさんも苦手だ。 そんな無駄話を幾つかした後、ふと疑問が沸いた。 「なぁ、俺はこれからどうなるんだ?」 そう、それが不安だった。 勿論しばらくは保護してもらえるらしいが、何時までかは分からない。何も持たない、名前さえもない自分には、やはり不安だった。 「うーん、今は次元漂流者扱いで保護しとるんやけどな」 次元漂流者。 先程習ったが、世界には次元世界という形で世界がいくつも存在するらしい。はやてやなのはも第97管理外世界というところから、ここミッドチルダがある次元世界に来たらしい。 そして次元漂流者というのが、元いた世界とは別の次元世界へ意図せず飛ばされた人のことを言うのだそうだ。 「俺は結局、その次元漂流者だったのか?」 「それなんやけど、調べてみたら確かに長距離転送魔法の痕跡はあったんよ。ただ元を辿れんやったし、前におった世界について聞こうにも記憶がないんやもんなぁ……」 記憶が無いというのは厄介だ。 自分の名前も経歴も住所も分からない。知り合いなども探せない。いや、知り合いがいるかどうかすら分からないのだ。ここミッドチルダに住んでいたかどうかすら分からない以上、次元漂流者かどうかすら分からない。 所持品がほとんどないことが、それに拍車を掛けていた。 「ただ所持品の中にドッグタグがあったから、それをシャーリーに調べてもらっとる。名前とかも分かるかもしれへんから、或いは思い出す糸口になるかもしれんよ」 「名前、か。今は何よりもまず、それが知りたい」 名前がないのがこれほど不安だとは、流石の記憶を失う前の自分も知らなかっただろう。 「ところで――」 はやてが口を開こうとしたちょうどその時、彼女の首に掛けられている十字を模した金色のネックレスから電子音が発された。 「ちょっと待ってな?」 はやてが十字架をなぞると、突然彼女の前に画面らしきものが現れる。裏側からなので何が写っているかは見えないが。こういうのはホログラムとでも言うのだろうか? 「……わかった。ありがとな、シャーリー」 彼女が何らかの会話を終えて空間に浮かぶ画面に触れると、途端に画面が消えた。テレビ電話、みたいなものか? 相手の声が聞こえなかった所から、音漏れ対策までしているらしい。 「じゃあカズマ君でええ?」 「……は?」 カズマ? 聞き覚えがある響きだが―― 「それって俺の名前か!?」 「シャーリーがさっき解析が終わったって。じゃあ改めて、これからカズマ君でええ?」 「あ、ああ」 カズマ、か。ただ、何か肝心な所が欠けてる気がする。カズマの上に何かつくはず―― 「――そうだ! 俺の名字は?」 俺の質問に、はやては首を横に振ることで答えた。 「そう、か」 「ま、ええやん。で、ウチの話の続きしてええか?」 それに首を縦に振って答える。正直、名字のことで頭が一杯だったが、今後の生活を考えれば聞くしかない。 「カズマ君、機動六課に入らん?」 俺の名字、俺の名字……って、え? 「機動六課、だって?」 「はやてちゃん、それは流石に――」 「シャマル、ここはウチに任せて」 反論の声を上げるシャマルさんを黙らせるはやて。 機動六課。 確か正式名称は古代遺失物管理部機動六課だったはずだ。 目的は様々な次元世界で既に滅んだ文明が生み出した、極めて大きな力を持つ古代遺失物――ロストロギアを確保する部隊だったはずだ。ただし本当はJS事件の調査、阻止が目的だったらしいが。 「機動六課、入ってくれん?」 これが、俺の新たなる始まりとなった。 ・・・ 彼女との会話。隊員との触れあい。そして、魔法。 仮面の戦士の新たな生活が始まる。 次回『機動六課』 Revive Brave Heart 目次へ 次へ
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よ道に抜けていったゆりかごをえて スカリエッティの計画は、最終段階へ そして、機動6課は? 集長の一言 スカリエッティの裏には、意外な人物が、いました もしかすると、この事件は、 ちゃんとした終幕は、あるのでしょうか? 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 20 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
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…時はなのはとヴィヴィオが対峙している頃まで遡り… エインフェリアを一撃で撃破したレザードは、依然としてヴァルハラへ進路を取って飛行を続けおり、 暫くして前方にうっすらとヴァルハラの姿を発見し接近すると、ヴァルハラから大量の砲撃が襲い掛かってきた。 「フッ…手荒い歓迎ですね」 レザードは不敵な笑みを浮かべながら一言漏らすと、砲撃を交い潜り一つの砲口へ辿り着き、 右手に持っていたグングニルを振り抜いて衝撃波を作り出し砲口を破壊、 大きな風穴を作り上げるとレザードは悠々とヴァルハラへ侵入するのであった。 リリカルプロファイル 第三十五話 神 風穴から侵入したレザードは次々に立ちはだかる障壁を撃ち破り大通りらしき場所に出て辺りを見渡すと、 其処はまるで太古の宮殿を思わせるような造りをしており、 至る所に彫刻や壁画が飾ってあり、正に豪華絢爛といった様子であった。 すると目前から大量のアインヘリアルが姿を現し始める、どうやら侵入者を排除する為に動き出した様子である。 「やれやれ…御大層な持て成しですね」 レザードは肩を竦め小馬鹿にした表情を浮かべていると、アインヘリアルから多数の魔力弾が発射される。 するとレザードはバリア型のガードレインフォースを張りアインヘリアルの攻撃を防ぎ、 そして左手に青白い魔力を纏わせてアインヘリアル達に向けるとファイアランスを発射、 複数の炎の矢がアインヘリアル達に突き刺さり、一瞬にして溶解していった。 そして一通り攻撃を終えたレザードはモニターを開き、ドゥーエが文字通り命を懸けて届けてくれた内部構造図と今現在の場所を照らし合わせる。 どうやら此処はヴァルハラの外装地区、三賢人がいる場所は更に奥の内装地区である事が判明した。 「此処からでは些か遠いですが…仕方ありませんね」 そう言うなり歩き始め地図を頼りに内装地区を目指す、その間にアインヘリアルの増援・襲撃が続くが、 まるで無人の野を行くが如く何事もなかったのように進み、 レザードの歩いた後には溶解もしくは破壊されたアインヘリアルの残骸だけが転がっていた。 外装地区を突き進み内装地区に繋がる障壁を破壊して更に進み歩いていくと、 先程まで大量に襲いかかって来ていたアインヘリアルの姿が突如としてなくなり、 突然の撤退に首を傾げるも先に進み目的の場所へと辿り着く。 其処には身の丈以上の巨大な扉が存在しており、神の玉座と書かれたプレートが掲げられていた。 「…随分と御大層な部屋ですね」 レザードは一つ鼻で笑うと右手に持つグングニルを振り抜き衝撃波を作り出して扉を切り刻み、 音を立てて扉が砕け落ちる中、ゆっくりを部屋へと足を運ぶ。 部屋の中は広く大理石をモチーフとした石柱が幾つも並び建ち、目前には緩やかな十段ほどある階段があり、 更に奥には巨大な玉座が三つ並び建ち、玉座にはヴォルザを中心に右にガレン左にはダレスが堂々と座っていた。 レザードは三賢人の姿に内心驚きつつ含み笑いを浮かべる、何故なら三賢人の姿は、 かつて自分がいた世界に存在していたディパンの三賢人に容姿が酷似していたからである。 恐らくはメルティーナと同様“他人の空似”であるのだろうが、今思えば彼等が行ってきていた行動は、 ディパンの三賢人とさほど変わってはおらず、その事が尚彼等を滑稽に見せていたのだ。 だがレザードの内心を余所に神の三賢人はゆっくりと椅子から立ち上がり、 レザードを見下ろす形で対峙するとヴォルザが威厳あるように言葉を口にする。 「まさか…貴様自身がこのヴァルハラに乗り込んでこようとはな……」 だがむしろ手間が省けたと不敵な笑みを浮かべるヴォルザに対し、 眼鏡に手を当て此方も不敵な笑みを浮かべて見上げているとヴォルザは更に言葉を口にする。 「我ら神に逆らい者には罰を与えんとな…」 「ほう…ならばその罰とやらを見せて貰いましょうか」 そう言うとレザードは左手を向けてファイアランスを撃ち出す、 するとダレスが一歩前に出てバリアを張り、ファイアランスを防いだ。 「私のファイアランスをこうも簡単に防ぐとは…ならばコレはどうです?」 するとレザードは体を宙に浮かせ三賢人のいる高さまで上がると、グングニルを振り払い衝撃波を撃ち出すが、 それすらもダレスのバリアは防ぎきり驚く表情を浮かべる。 レザードの攻撃が一通り終えると今度はガレンが一歩前に出て、杖を向けて直射砲を撃ち抜くが、 レザードはバリア型のガードレインフォースを張り攻撃を防いだ。 「ほう…少し侮っていたか」 ガレンは一言漏らすと魔力を高め、直射砲は徐々に勢いと威力が増し、レザードを押しのけ始めるとバリアに亀裂が走る。 …このままではバリアが砕け散ると見たレザードは予め…と言うより常に用意している移送方陣を発動、 足下に五亡星の魔法陣が張り巡り、バリアが砕けるとほぼ同時に移送、難を逃れる。 そして先程より高い位置に移送すると三賢人を睨み付けた。 「よもや私のバリアを破壊するとは!」 レザードが作り出したバリアはそう簡単に砕けるものでは無く、 なのはのスターライトブレイカーすら防げると自負していたが、その自信は脆くも崩れ去った。 「ならば!コレならどうでしょう!!」 レザードは左手を向けて青白い魔力を纏わせると、イグニートジャベリンを撃ち抜く。 その数は10本に上り、光の槍は三賢人に襲いかかるが、ダレスのバリアに阻まれる、 しかしレザードの放った槍の一つによってダレスのバリアに小さな亀裂が走った。 「おや?思っていたより威力がありましたね」 レザードの攻撃が自分の想像より威力があった事に驚いていると、 ガレンもまた「驚きだな」と応え笑い合う中、レザードは先程と同様の数のイグニートジャベリンを撃ち放つ。 だが今度は完璧に防がれ、苦虫を噛む表情を浮かべていると、ヴォルザの左手から強烈な光を放つ雷を発生させる。 「ふっ…二人とも迂闊であるぞ」 そう言って二人を窘めると左手を向けてサンダーストームを撃ち放つヴォルザ、 一方レザードはバリアを張り巡らして攻撃に備えるが、バリアは一瞬にして砕かれ、 強烈な雷がレザードの身に降りかかり、何度も体を跳ね上げサンダーストームが終えると、 苦しい表情を浮かべながら漂うレザードであった。 「ぬぅ…これほどの魔力を有しているとは…」 「…フンッ魔力はまだまだこの程度ではないわ」 「何ですって!?」 レザードの驚く表情に三賢人は不敵な笑みを浮かべると更に魔力を高め、ガレンは魔力弾を50程作り出し、レザードに向けて撃ち出す。 するとレザードはバリアを張りつつ魔力弾を回避、更にアイシクルエッジにて迎撃し回避出来無い場合はバリアで防いでいた。 だがガレンは更に魔力弾を追加して遂にレザードのバリアを破壊、 その身に幾度も魔力弾が突き刺さる、だがその中でレザードはガレンの元へ向かっていく、 三賢人は基本的に魔導師系であると考え腕力ならば勝てると踏んだからである。 そしてグングニルを勢い良く振り下ろすが、ガレンは持っていた杖で容易く受け止め、 逆に押し返すと杖を振り上げレザード目掛け振り下ろし、 直撃したレザードはなす統べなく床に叩き付けられ、暫くしてゆっくりと立ち上がる。 「バカな!何という力だ!!」 「フンッ此が神の器を手に入れた我々の実力だ」 神の器は魔力だけではなく接近戦でも充分な実力を引き出せる代物であり、 見た目でも非力そうなレザードの腕力では相手に出来る訳が無いと力強く答え不敵な笑みを浮かべる。 だがレザードは再度衝撃波を放ち、更にアイシクルエッジを撃ち抜くが、 今度はガレンがバリアを張り防がれると、続け様にヴォルザがエクスプロージョンを放ち、 レザードの周囲は炎に包まれるが、何とか耐え抜いて上空へと移動、 するとダレスが誘導性のある魔力弾を撃ち放ち、レザードは石柱を縫いながら逃げ回り、 ファイアランスで魔力弾を相殺、更に左手を向けて青白い魔力で覆うと指を鳴らし、 バーンストームを発動、三賢人の足下は三度爆発を起こし、彼等がいた場所は炎に包まれる。 「コレならどうでしょう」 「…無駄な事を」 すると辺りの炎が消え去り中から無傷の三賢人が姿を現し、 驚く表情を浮かべていると、ヴォルザはアースクレイブを発動、 レザードの頭上から大量の岩の刃が降り注ぎ床まで追いやられ膝を付かされる。 「おのれ…こうなればエインフェリアを一撃で葬った我が魔法で叩き潰してくれる!」 そう言って立ち上がると左手を三賢人に向け、足元に巨大な多重の多角形型の魔法陣を広げ詠唱を始める。 「汝は知るだろう…幾何になりし封縛…いかなる訃音を告げるものか!」 すると三賢人を中心に巨大な氷の塊が三角形の位置に現れ徐々に迫り三賢人を閉じ込める、 そして―――― 「デルタストライク!!」 次の瞬間、氷の塊は砕け散り辺りには砕け散った氷が雪のように舞い散る中、 三賢人ごと砕け散ったであろうと確信し、不敵な笑みを浮かべながら見つめると、レザードの表情が一転する、 何故ならばレザードが放った広域攻撃魔法の中心にはダレスとガレンがバリアを張り巡らせ耐えきった姿を目撃したからである。 「バカな…あのエインフェリアを一撃で葬った魔法と同威力なハズなのだぞ…」 「我々がエインフェリアよりも弱いとでも思っていたのか?」 エインフェリアは三賢人の肉体である神の器の基の一つであり、神の器が基であるエインフェリアよりも弱いハズがない、 そうヴォルザが答えると、左手をレザードに向けて不敵な笑みを浮かべる。 「…広域攻撃魔法とは、こういう物を言うのだ!」 すると足下に巨大な広域攻撃魔法用の魔法陣を張り巡らし詠唱を始める。 「頌歌なき混沌…浄化なき漆黒…無の監獄に囚われし隻眼の巨神に我は問う!」 そして魔力の球体がレザードを中心に囲うようにして張り巡り、 球体内に赤い稲光が漂うと赤い球体と化してレザードを包み込む、 その光景は端から見ればまるで赤い眼を彷彿としていた。 「プリシードグラビディ!!」 次の瞬間、プリシードグラビディは光を放ち辺り轟音が鳴り響き消滅すると、 音の中央ではグングニルを杖にして辛うじて立っているかのような佇まいのレザードがいた。 「何故…これ程の魔力を……」 「……ならば冥土の土産に教えてやろう」 そう言うなりヴォルザは胸元を指す、三賢人は高性能な神の器だけでは飽きたらず、 内部にレリック更には補助としてジュエルシードが取り付けられており、 二種にはルーンが刻まれほぼ無尽蔵に魔力を得られる、まさに永久機関とも言える機能があるのだという。 つまりそれは三賢人の魔力には底が無いという事であり、 レザードは焦るような表情を浮かべながらグングニルを振るおうとしたが、 ダレスのバインドによって手足を縛られグングニルを落としてしまう。 するとレザードの体が大の字に引っ張られ更に浮かび上がり、 三賢人の目線まで上昇すると三賢人は足下に魔法陣を張り詠唱を始める。 『虚空を伝う言霊が呼び覚ませしは…海流の支配者の無慈悲なる顎門!!』 三賢人は声を揃え詠唱を始めると、それぞれの手から水が生まれ水流となり、 更に激しい激流へと変わり最後は竜に形取り、三賢人の手の平に漂う。 そして詠唱を終え広域攻撃魔法の準備も整った三賢人は、レザードに別れの挨拶を告げた。 「我ら神に逆らった罪…命を持って償うがいい!!」 「……フフッ…フハハハハハハハ!!」 「…ついに恐怖で心が折れたか……」 まるで哀れむようにしてレザードを見つめる三賢人に対し、 今までとは異なり不敵な笑みを浮かべ魔力を高め始める。 すると呼応するようにグングニルが反応し、レザードの前まで向かうと縛り付けていたバインドを切り裂いていく、 そして右手でグングニルを掴むとレザードは三賢人に左手を向けて、多角形型の巨大な魔法陣を足下に広げ詠唱を始める。 「汝…美の祝福賜らば、我その至宝…紫苑の鎖に繋ぎ止めん……」 「最後の足掻きか…無様な!!」 しかしレザードの広域攻撃魔法が発動する前に三賢人のダイダルウェイブが発動、 顎門がレザードの魔法陣ごと飲み込み三匹の竜は天高く上る。 「…ふっ安心せよ、すぐに無限の欲望も後を追わせよう」 そう言って勝利を確固たる勝利を確信した三賢人であったが… 三匹の竜は急に動きが止まり暫くすると徐々に頭部から凍り付き始め、 全身を凍り付かせるとレザードのこもった声が辺りに響き渡る。 「アブソリュート…ゼロ!!」 すると次の瞬間、ダイダルウェイブは粉々に砕け散り、 辺りはまるでダイヤモンドダストのように破片が煌びやかに舞い、 その中心には左手を眼鏡に当て不敵な笑みを浮かべ佇むレザードの姿があった。 「これは!一体?!」 「失礼…余りにも滑稽過ぎたのでつい……フフッ」 「なん…だと?」 今までの戦闘は全て三賢人の実力、そして神の器の性能を知る為の演技、 だが三賢人はそれを知らずに茶番劇に乗っかり、あまつさえ調子すら乗っていた。 正に神も畏れぬ恥知らずな行為、故に三賢人の底が見えた為にこの茶番劇を終えた… そう不敵な笑みを浮かべながら語ると、三賢人は大声で笑い始め流石のレザードも困惑する。 「愚かな…この程度の魔力で勝った気でいるとはな!」 そう言うや否や三賢人は更に魔力を高め不敵な笑みでレザードを見上げる。 一方でレザードは呆れた表情を浮かべ頭を押さえ始めた、 この期に及んで三賢人の愚考に愚行…最早呆れるを通り越して哀れみすら感じる。 正に傲慢を形取った存在、この様な存在が神を名乗っている自体、万死に値する…レザードはそう考えると、 レザードの考えに知ってか知らずか三賢人は更に挑発を重ねる。 「やはり神の力の前に言葉を無くしたか……」 「愚かな……神の力という物が一体どの様なモノを指すのか、見せて上げましょう……」 するとレザードの足元から青白く光る五亡陣が現れ、青白く光るレザードの魔力が白く輝く魔力に変わり、 レザードの全身は光の粒子に包み込まれ、次に右手に持っていたグングニルがネクロノミコンに戻りレザードの目の前で浮かび光を放つと、 一枚一枚ページが外れ白く輝く魔力に覆われレザードの周りを交差しながら飛び回り、 そしてレザードのマントは浮遊感があるようにふわふわと漂い、レザードの体も同様に漂うと足下の魔法陣が消え去る。 その変貌と魔力の異常な高まりに三賢人は泡を食っている中で、 レザードは三賢人に左人差し指を向けると、全身を纏う光の粒子が集まりグングニルを形成し勢い良くダレスに向かっていく。 するとダレスは先程と同じくバリアを張り攻撃に備えるが、一瞬にして打ち砕き更に身を貫く、 そして柄の部分まで貫き止まるとレザードは手の平を返し人差し指で呼ぶような動作を二回程行うと、 グングニルはその場で勢い良く縦回転、更に回転を維持したままレザードの手元に戻り、光の粒子に戻って消え去る。 「どうです?神の力をその身に受けて」 「ぐぎゃああああああ!!!」 「……いい返事です」 レザードは満面の笑みでそう答える中、痛みでのたうち回るダレス、 グングニルの攻撃は非殺傷設定を受けている為、真っ二つされた時に生じる痛みのみ与えるようになっていたのだ。 そんなダレスの姿を見たガレンが報復とばかりに魔力弾を形成、その数は100にも上り一斉に撃ち出しレザードに迫ってくる。 …だが魔力弾はレザードの体をすり抜け天井や柱、壁などに次々に激突していく、 そして肝心のレザードはまるで何事も無いかの様に佇んでいる、 しかし魔力がすり抜けた部分は光の粒子と化し、暫くして肉体に戻っていった。 アストラライズ、対象物の物体(マテリアル)を幽体(アストラル)に変換させる事で霊体化する技術で、 物質は勿論の事、魔法すら効果が無く攻撃するには同じくアストラライズするか、 霊体化を無効もしくは霊体自体に影響を及ぼす能力・技術が必要となるのだ。 しかし三賢人はそのような事を知らず次々に魔力弾を撃ち抜くが、 その全てが無効化…つまりはすり抜けていき、ガレンはレザードの頭部目掛けて直射砲を撃ち抜くが、 アストラライズされた肉体には一切傷を負わせる事が出来ず、すり抜けただけに終わる。 「愚かですね…そんなモノが通じる訳が無いでしょう」 するとレザードはガレンに向けてアイシクルエッジ、イグニートジャベリン、ダークセイヴァーと次々に撃ち抜き、 ガレンは串刺し状態になると最後にグングニルがガレンの腹部辺りを貫いた。 その時…痛みから何とか耐え抜いたダレスが起き上がり、 怒りの眼差しを向けながら迫り、持っていた杖を振り降ろすが、 杖はレザードの体をすり抜け、肩透かしに合うと 今度はレザードの周りを飛び交うページが次々にダレスの身を斬りつけて行く。 レザードの魔力が籠もったページの切れ味は名のある名刀に並ぶ程で、 しかも此方も非殺傷設定されてある為に肉体自体を一切傷付ける事無く痛みのみを与えたのであった。 だがダレスはレザードの攻撃に何とか耐え抜き、続けて魔力弾を撃ち込もうとしたところ突然光の粒子に変わり消えると、 ダレスの周囲が爆発しその光景に膝を付いていたガレンが驚きの表情を見せていると、 いつの間にかレザードは真後ろにテレポートしていたらしく、 右手でグングニルを引き抜き光の粒子に戻すと、続け様に左手でガレンの体を透すようにして心臓を握る。 すると心臓を中心に囲むようにして結界が張られると、握りつぶす動作を行った。 前者はリベリアス・リペンタンスと呼ばれる自らを光の粒子に変え爆発と同時にテレポートする技で、 後者は力ある名前と呼ばれる、対象を魔力で包み込み握りつぶすようにして攻撃、受けた者はほぼ即死と言う荒技である。 だが双方共に非殺傷設定されており、今回放った力ある名前においては、 心臓のみ魔力を張る事により、握り潰された時に生じるであろう苦痛だけを与える非人道的な技へと変わっていたのであった。 「どうです?神の力をその身に受けて…」 「ガハッ!!あああぁぁがあぁぁぁぁ!!!」 「其処まで喜んでくれるとは……光栄の極みです」 ガレンは心臓を押さえ悶え苦しむようにのたうち回り、 その光景をまるで祝福でもしてくれたかのように振る舞うレザード。 「おのれぇ!我らの宿願、このような形で終わってなるものか!!」 その光景にヴォルザは怒りに震えながらレザードに杖を向けてエクスプロージョンを撃ち抜くが、 レザードのプリズミックミサイルにかき消され、寧ろその身にレザードの攻撃を受ける。 すると体が言う事聞かず全身が痺れるように麻痺していると、レザードが目の前まで近付き、蔑んだ瞳で見下していた。 「…哀れですね、所詮は人の身…それで神を名乗るとは、それ自体が痴がましい……」 だからと言って許すつもりはない…そうハッキリとした口調で語り、 左手を向けてファイアランスを撃ち放ち、火達磨にすると、今度はアイシクルエッジにて凍結させる。 それを何度も繰り返し焦熱と極寒の地獄をヴォルザはその身で体験していると、 ヴォルザを助けようとダレスが魔法陣を張り始める中、 レザードは右指先でパチンッと鳴らしポイズンブロウを撃ち放ち、 ダレスの足下から紫色の濃霧が立ち上り消え去ると、 紫色に変色したダレスが、喉を掻き毟りながら悶え苦しんで倒れた。 その光景を見てレザードは声を上げて笑うと一つの案を思い付き、 早速ヴォルザに撃っていた魔法を中断、糸が切れたようにヴォルザが座り込むと、 レザードはヴォルザの目線に合わせ右人差し指をアストラル化させて額に触れ、 ゆっくりと突き進みヴォルザの脳に到達すると――― 「…ファイアランス」 次の瞬間、ヴォルザの脳は炎に包まれ、熱さと痛みと苦しみが文字通り脳内で響き渡り、 頭を押さえ悶え苦しんでいる中、更にレザードは心臓・二つの肺・肝臓・腎臓そして睾丸に火をつける。 …特に睾丸は炎の調整が難しかったと、自慢気に語る中、ヴォルザは顔の穴という穴から体液を垂らし、 体を何度も痙攣させながら苦しみ、その姿はまるで陽向に放置されたミミズのようであった。 だがレザードの攻撃は未だ終わらず、今度はアイシクルエッジを撃ち抜き全身を凍り付かせる。 「ふふふ…どうです?体内から焼かれる苦しみと体外から凍り付く苦しみは……」 非殺傷設定がなければ此程の事をするのは至難の業であり、 更に三賢人の魔力はリンカーコア・レリック・ジュエルシードそしてルーン文字によって、 永久機関化されてある為に気絶する事すら出来くなっていたのだった。 「だが殺しはしない…殺して楽になどさせるものか!」 生かさず…殺さず…気絶すらさせず、ただ苦しみ悶えさせる…それはさながら悪魔の所業と言っても過言では無い、 そして三賢人の攻撃は一切通用しない、まさにレザードは“全てを超越した存在”と言っても過言では無い実力を持っていた。 一方でダレスは未だに毒に苦しみ、ガレンは心臓を押さえつけていた。 するとレザードは左手をガレンに向け魔力を用いて体を浮かせる、 だがガレンの瞳は未だ敵対心のある眼差しを秘めていた。 「…気に入らんな」 そう一言発するとイグニートジャベリンを発動、周囲に五本の光の槍を作り出すと、両手足を貫き最後の一本で両目を貫いた。 ガレンは幾度目かの叫び声をあげると今度は左手を潜り込ませ心臓に手を当てるとライトニングボルトを放つ。 「どうです?私の心臓マッサージは?」 心臓に手を当て、とても苦しそうにしていたからマッサージで癒してやろう… そう言いながらも更に電圧を上げて撃ち抜きガレンの体は幾度も体を跳ね、 背中から余剰の電流が流れ出し口から泡を吹き出し始めても、 気絶する事が出来ず五回程電圧を上げて打ち込まれた後、最後はヴォルザの下へと投げ込み、 ガレンはぐったりとした表情で未だに痙攣を起こしていた。 そんなガレンの様子を見下ろすように確認すると、レザードは続いてはダレスに目を向ける、 ダレスは未だ全身に回っている毒で苦しんでおり、その様子にレザードは 笑みを浮かべながら近付き左手に魔力を纏わせてダレスの腹部に潜り込ませる。 そして左手を引き抜くと纏っていた魔力は消え、レザードは上空にテレポートすると左指先をパチンッと鳴らす。 するとダレスは爆発して吹き飛び地面に叩き付けられると、再び指先を鳴らし爆発、 先程と同様に吹き飛び顔から地面に着地すると更に指先を鳴らして爆発、 ヴォルザとガレンがいる場所まで吹き飛ばされ倒れるとレザードは拍手を送る。 「見事に仲間の下へ戻ったようですね」 レザードはダレスの体の中にバーンストームを埋め込み、指先を鳴らす度に体の中で爆発、 その勢いを使ってダレスを他の二人の下に運んだのであった。 「折角集まったのです、此処は私が一つプレゼントを差し上げましょう…」 すると足下に多角形の魔法陣を幾重にも張り巡らせて詠唱を始める。 「我は命ず…汝悠久の時、妖教の惨禍を混濁たる瞳で見続けよ……」 そして魔法陣から巨大な骸骨が姿を現しレザードはその肩に乗ると、三賢人に向かって指をさす。 「ペトロディスラプション!!」 すると骸骨の口から大量の灰色の濃煙を吐き出し三賢人を包み込み、 濃煙の中では三賢人の一人であるヴォルザの氷が一瞬にして砕け、 そして悶えながら痙攣を起こしており、煙が晴れると其処には瀕死状態の三賢人の姿があった。 最早三賢人は以前のような自信に満ちた姿など見る影もなく、心は折れ肉体と精神は疲れ果て、声も体液も枯れ果てていた。 そしてレザードは三賢人の相手に飽きが来たのか、ヴォルザの体内で燃えさかる炎を消し、 ダレスの毒を消し去ると左手を眼鏡に当てて不敵な笑みを浮かべて語り始める。 「さて…所詮はただの人であった訳だが…私を此処まで楽しませてくれたのです…何か褒美を上げませんと」 そう言って顎に手を当て考え込み、暫くして何かを思いついたのか、 満面な笑みを浮かべ右手を三賢人に向けて褒美を発表する。 「そうだ!石像を贈りましょう…しかし石像の材料は―――貴様達です」 三賢人を材料に三賢人の石像を建ててやる、それはさぞかし自慢の一品になるだろう… そう告げると恐怖からか逃げ出そうとする三賢人であったが、 レザードはすぐさま指先を鳴らしストーントウチを発動、三賢人を灰色の煙で包み込み暫くして煙が晴れる。 すると其処には恐怖に呑まれ顔を引き付かせながら逃げ出そうとした三賢人の石像があった。 その石像をレザードはじっくりと見つめ顎に手を当て暫く考えた後、結果を口にする。 「…失敗作ですね、やはり、こういった物を後世に残す訳にはいきませんし……」 そう言うと光の粒子がグングニルに変わり、レザードが右人差し指で左から右へ振り払うと、 グングニルもまた同じ動作を行い衝撃波を作り出し、三賢人の石像を完膚なきまでに破壊し尽くした。 その残骸を目にしてレザードは高笑いを掲げながらこの場を後にするのであった。 神の玉座を後にしたレザードはモニターに映し出している地図を頼りに、 アインヘリアルの操作・制御装置を破壊、更に先に進み動力室へと足を運ぶ。 「大きいですね……」 レザードは動力炉を見上げ一言漏らす、全長数キロにも及ぶヴァルハラの動力炉は、 ゆりかごの動力炉に匹敵する大きさで、並の魔法では破壊は難しいと考えたレザードは、 足下に広域攻撃魔法の魔法陣を張り巡られて詠唱を始める。 「我…久遠の絆断たんと欲すれば…言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう……」 するとレザードの頭上に巨大な槍が出現、槍は回転し始め、 柄の両先から魔力は放出すると、レザードは動力炉に向けて右人差し指を向けた。 「ファイナルチェリオ!!」 そう叫ぶとファイナルチェリオは動力炉に突き刺さり大爆発を起こし消滅した。 …だがレザードは顎に手を当て考え込む、スカリエッティの願いは「ヴァルハラを一切の破片も残さず破壊する事」である。 これほど巨大な船を破壊するには並の魔法では不可能と考えたレザードは、 広域攻撃魔法の中でも威力が高い魔法の一つを選び出し、 レザードは足下に広域攻撃魔法の魔法陣を張り右手を向けて詠唱を始めた。 「汝…其の諷意なる封印の中で安息を得るだろう…永遠に儚く……」 するとレザードを中心に金色に輝く羽と共に光を放ち始め、障壁を撃ち貫く度に輝く羽が舞い散り… そして――― 「セレスティアルスター!!」 レザードの掛け声を合図に強烈な光が放たれ周囲を包み込むのであった。 場所は変わり此処ヴァルハラの外にはレザードを追いかけていたはやての姿があった。 はやてはヴァルハラからの砲撃を後方で確認していると、 レザードがヴァルハラに侵入、それにより接近し始めるとアインヘリアルが陣を張り、 暫く戦闘を行っていたのだが、急にアインヘリアルが動かなくなり次々に落下していき、 不審に思ったはやてはヴァルハラに接近、ある程度距離を開けて観察をしていた。 「…静かやな」 今までとは打って変わって静寂が包み込み、その静けさがかえって不気味さを演出している頃、 静寂を切り裂くように突然爆発音が鳴り響き、はやては慌てふためいていると、 ヴァルハラの至る所から金色に輝く光が姿を現し、光の中から輝く羽が舞い散り、神々しい演出が見受けられる中、 光はヴァルハラを完全に包み込み、はやてはその眩しさから右手で遮るようにして目を凝らしていた。 「うおっ!眩しっ!!一体なにが起きたんや!?」 はやては事態の把握に専念する中で光は落ち着きを見せて完全に消え去ると、 今まで存在していたヴァルハラが塵も残さず消滅しており、 ヴァルハラの跡地にはレザードが不敵な笑みを浮かべてはやてを見上げていた。 「おや?貴女は確か…八神はやて…でしたか?」 「せや!此処で会ったが百年目って奴や!覚悟しい!!」 そして此処で…今何をしたのか洗いざらい話して貰うと、はやてはレザードを問い詰めるが、 レザードは小馬鹿にした表情で肩を竦めると、左人差し指をリズミカルに三度振りこう答えた。 「ちょっとした魔法ですよ…それに此処で決着をつけるのは少々心許ない…」 故に決着はゆりかごで行おう…そう告げると移送方陣を広げ、紳士的なお辞儀をして移送する、 その姿に苛立ちを見せる表情を浮かべるはやての下にアースラからの連絡が届く。 今し方クラウディアから一報が届き、クロノ達の連絡を受けて本局はアルカンシェル隊を派遣、 そして一斉放射によってドラゴンオーブは消滅したとの事である。 一方でクラウディアはミッドチルダ周辺宙域で待機、 クロノ達は転送装置によりアースラへと移動しているという。 次に各地に展開されていたアインヘリアルが次々に機能停止していると告げると、 その要因はレザードの手によるヴァルハラ撃破の為であると直接伝え、 後方にいるのであろうか、クロノの驚愕した声が微かに聞こえていた。 そしてはやてはレザードはゆりかごにて決着を付けると直接挑戦状を受けたと告げ、 各員ゆりかごに集合するようにと通告すると足早にゆりかごの下へと向かった。 そして…ゆりかごがうっすらを確認出来る上空ではなのは・フェイト・はやてを中心にヴォルケンリッターが囲み、 後方にはティアナを背負いウィングロードに立つスバルにフリードリヒに乗るエリオとキャロ、 続いてクロノ率いる夢瑠を除いたクラウディアチームに、地上にはジェイクリーナスや、 シャッハにヴェロッサそしてメルティーナにルーテシアの姿も見受けられていた。 ルーテシアはこの戦いが終えた後、自分の罪を償うとクロノ達と約束を交わし、 そして監視役としてメルティーナが付きそう事で許可が下りたのである。 そしてはやては簡潔に説明を始める、まずゆりかご突入は機動六課のメンバーで行う、 何故ならば彼等の実力はかなりのモノになり、更になのはとフェイトは神から戴いた杖を持っている為であるからだ。 そこでまず、はやて・ヴォルケンリッターがゆりかごの動力炉を破壊、 スバル・ティアナ・エリオ・キャロの四人はチンクの確保、 フェイトはまずスカリエッティを確保し、その後なのはと共にレザードの確保、 残りのメンバーはゆりかご周辺のガジェット及び不死者の撃破と突入組の護衛を命じ一斉に動き始める。 そしてクロノ達の援護・護衛により足早にゆりかごに辿り着いた機動六課メンバー、 するとはやてが突入口を作る為にフレーズヴェルグの用意を始めると、 突然ゆりかごの外壁から巨大な火柱が立ち上り大きな風穴をあけ、 其処からはアギトとユニゾンしたアリューゼとナンバーズの戦闘スーツを着込んだメガーヌが姿を現す。 アリューゼはメガーヌを助け出したはいいが、目も向けられない格好であった為にラボにあった戦闘スーツを着させ、 そして復活したばかりのメガーヌを連れたままレザードとの戦闘は無理と考え、 一時的に撤退、その後障壁が立ちふさがりアギトとユニゾンしたアリューゼの一撃によって障壁を破壊し外に出たのだ。 「なんだ?こりゃ―――」 「アリューゼ!手を貸して!!」 ヴェロッサが簡潔に状況を説明するとアリューゼは頷きメガーヌを連れてヴェロッサの下に向かい、 入れ替わるように突入組がアリューゼが開けた風穴から次々に突入していく。 そしてアリューゼはメガーヌをヴェロッサに任せ再びゆりかごに向かうと、アースラからクロノに一報が届く。 内容はミッドチルダ全域に展開されていたガジェット及び不死者が、ゆりかごに集うかのように向かって来ているというものであった。 するとクロノ達の目前の上空に黒い影が姿を現れ大量のガジェット及び不死者を確認した一同は、 次々に構え始めるとアリューゼが皆より一歩前へと躍り出る。 「何をする気だアリューゼ!」 「まぁ見てな…行くぜアギト!!」 「応っ!!」 アリューゼの掛け声にアギトは威勢良く答えると、バハムートティアを肩に構え、 同じく肩幅ぐらいに足を広げるとアギトが烈火刃を発動、バハムートティアの刀身が業火に包まれる。 「テメェ等の顔も――」 「――見飽きたぜぇぇ!!」 アリューゼとアギトが台詞を繋ぎ合わせるように言葉を口にすると、 業火は更に巨大化、アリューゼは業火に包まれたバハムートティアを振り抜いた。 『盛れ炎熱!ファイナリティブラスト!!』 次の瞬間、刀身に纏っていた業火が一直線に伸び横に薙払うと、黒い影は次々に消え去っていき、 一同はアリューゼの桁違いの威力に唖然とした表情を浮かべている中、 アースラから続々とガジェット及び不死者が押し寄せてきていると報告が届き、 報告を聞いたクロノの目前にはまたもや黒い影が押し寄せてきており、 皆に気を引き締めるように促すと、突入組の勝利を信じて対峙する一同。 事態はいよいよ、最終局面を迎えたのであった…… 前へ 目次へ 次へ
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魔法少女フルメタなのは クロス元:フルメタル・パニック! 最終更新 08/02/01 第一話「世界からのシグナルロスト」 第二話「流れ着いた兵士達」 第三話「新たな生活」 第四話「wake from death」 第五話「邂逅、そして激突」 番外編その一「馬鹿騒ぎのレディーズ’バス」 番外編その二「回避不能なホームメイドディッシュ」 エリオと金色の獣 クロス元:うしおととら 最終更新:08/03/02 其の一「エリオととら、出会う」 其の二「とらと魔法と次元世界」 魔法忍者リリカル鴉 クロス元:忍道 戒 最終更新:08/05/02 第一話「鴉、来たる」 第二話「八神家」 第三話「ヴォルケンリッター」 第四話 前編 第四話 後編 第五話「嵐の前」 番外編「弁当とフラグ立て」 拍手感想レス :とらの身長は4メートルです! TOPページへ このページの先頭へ
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「よくやったぞトップガンダー!」 謁見の間に戻ったトップガンダーを帝王の実に嬉しそうな声が出迎えた。 目を覚まさないよう薬を打たれたフェイトとアルフも運び込まれる。 「よもや生け捕りに成功しようとは……素晴らしい戦果だ! この功績を賞しお前には暴魂の位を与えよう」 「……必要ない」 困難な任務を成功したというのに、トップガンダーには喜ぶ様子は全くなかった。 それどころか落ち込んでいる様子さえ見られる。 「オレは殺すつもりで撃った。それなのに銃弾は止められ昏倒させるのが精一杯。 こんな様で昇進などしてはオレは自分を許せない」 「ほう……見上げた心意気だな」 先ほどとはまた違った喜びを含ませながら帝王は言う。 それは慢心する様子の見られないトップガンダーの有り様に対する喜びだ。 「ならば暴魂への昇進はあずけておく。お前の今後の働きに期待するぞ」 「お任せを」 短い言葉だけを残しトップガンダーは部屋の隅へと下がる。 かっこつけやがって、とモンスター軍団の方からつぶやきが漏れたが彼は完全に無視した。 魔法帝王リリカルネロス第3話 「主よ生きて!哀しみの女使い魔アルフ」 ここ謁見の間は帝王が各軍団に指令を下す場であるが他の用途にも用いられることがある。 しばしばこの広々としたスペースを利用してパーティーが催される他、他の軍団員を排して 帝王が何らかの実験を行う研究室となることもある。 そして今まさにここは研究室と化していた。機材が持ち込まれた後、各軍団の軍団長だけを残し 残りの軍団員は帝王の邪魔にならないように退室する。 本来は帝王1人で調査が行えるのだが、各軍団に魔法に関する情報をある程度共有させるため 軍団長は残されているのだ。 スキャナーで2人の肉体を精査しつつ、採取したアルフの血液の解析結果を眺めて帝王は呟いた。 「この女……人間の遺伝子が含まれておらんな」 「しかし帝王、それではどうやって人間の姿に?」 〈マスター〉 クールギンの問いに、帝王の傍らに置かれた杖が明滅しながら答える。 〈この女性は使い魔、魔導師が動物を加工し契約によって使役する存在です〉 「なんやあ?随分おしゃべりな杖でんな」 「レイジングハートという名前だ。実に優秀な道具よ」 〈お褒めに与り光栄です〉 有り体に言ってレイジングハートは今の主人が気に入っていた。障害を省みず、目的に向かって 突き進む姿勢を持った人間というのは善悪問わず彼女にとって好ましい人間なのである。 そして帝王の持つ資質、そこにも惹かれていた。 もともと独自の魔法を使っていたとはいえ、トップガンダーが帰還するまでの間に彼女の中に 記録されていた基本的な魔法をいくつも修得してしまった能力の高さ、帝王には驚くべき魔法の才が あると言えるだろう。 前の主人には悪いが、レイジングハートは自分を使いこなしてくれるであろう今の主人に忠義を尽くす ことを既に決めていた。それ故に魔法文明が存在するミッドチルダという世界、ジュエルシードなど 彼女が持っている情報については既に帝王に提供済みだった。 「つまり……狼が本来の姿で、魔法によって人間に化けている、と?」 〈マスターの推察通りです〉 「つくづく何でもありですな、魔法というやつは……」 帝王とレイジングハートの会話を聞いていたバルスキーは思わずぼやく。 尚、あらかじめ地球以外の世界についての情報をレイジングハートから聞いていた帝王は 地球外生命体の生態にかなり期待しており精力的にデータを取っていたのだが、 地球人、地球の狼との生物学的な差違はほとんど見られず密かに落胆していた。 「ううむ、検査で分かることはこれ以上はないか……各軍団、戦闘員を召集せよ。 この2人を覚醒させ余が直々に尋問する」 『ははっ!』 (うう……アタマ痛い……) 深刻な頭痛を感じながら目を覚ましたアルフは何があったのかを思い出しながら周囲を見渡し、 10秒近くその思考を完全に停止させた。 もっとも、薄暗く圧迫感のある空間の中で奇怪な怪物やらロボットやらの集団に囲まれた状況で 目を覚まして驚かない者などいないだろう。 「え……あれ……何コレ……?」 今、アルフはゴーストバンク内部の謁見の間にいた。 彼女を取り囲むネロス帝国の戦闘員は皆一様にアルフ達を注視している。 「目を覚ましたか」 声のした方を見ると、醜悪な老魔導師が玉座に座っているのが目に入った。 その姿を、その目を見た瞬間アルフは全身に怖気が走った。単純な魔力量だけではない、もっと 恐ろしい何かが目に見えぬ威圧感となって迫ってくるようだった。 いや、それだけではない。玉座の側に控えている銀色の甲冑の人物や大砲をたくさん体に付けた傀儡兵、 今この空間にはアルフの直感に『戦ってはいけない』と囁く存在が複数いた。 (そうだ、フェイトは…!?) 意識を失う直前に何があったかを思い出したアルフが思わず周囲を見渡すと、フェイトはすぐに 見つかった。玉座を前にフェイトは右側、アルフは左側に配置されており、その周囲を隙間無く ネロス帝国の戦闘員が取り囲むような構図となっている。アルフから少し離れたところでフェイトも ちょうどかぶりを振って起きあがろうとしているところだった。 その様子を見てにやりと笑った帝王は高らかに宣言する。 「余は神!全宇宙の神ゴッドネロスである!!」 『ネロス!!ネロス!!ネロス!!ネロス!!』 「ひっ!?」 「何!何なの!?」 ゴッドネロスに応えて響き渡る大音声。結構怯えていたアルフはその勢いに腰を抜かしかけ、 ぼうっとしていたフェイトの意識は一気に覚醒させられる羽目となった。 あまりのボリュームに頭痛を感じたフェイトが思わず頭に手をやると、側頭部に大きなたんこぶが 出来ている。完全なる奇襲で意識を刈り取られたフェイトはどこで頭を打ったのかまったく記憶に ない。それどころかここがどこで何故自分達がここにいるのか、それすら見当がつかなかった。 熱烈なネロスコール、左手を振ってこれを止めさせた帝王は呆然としているフェイトとアルフに 厳かに語りかけた。 「余はこの地球の真の支配者、ゴッドネロス。お前達、名は何という?」 「え……?その……フェイト…テスタロッサです。こっちは私の使い魔のアルフ」 「………」 少し躊躇したが、教育係であるリニスからそれなりに礼儀作法という物も教わっていたフェイトは、 問われたことに答えないのは失礼だろうと考えて自分と、しゃべろうとしないアルフの名を答えた。 フェイトは『地球の支配者』という帝王の言葉を額面通りに受け取っていたのである。 (フェイト……こいつらやばいよ……) (そうだね。まさかこの世界を支配している人に目を付けられるなんて。ここにロストロギアを 規制する法律はないと思うんだけど……やっぱり強盗って事になるのかな。どうしよう…) (……いや、そういう意味じゃないんだよ) フェイト・テスタロッサ。時の庭園という閉鎖された世界で育ってきた彼女にはちょっと天然で 世間知らずなところがあった。こいつらまともな連中じゃないからやばい、というアルフの主張は フェイトには届かなかったのである。 念話で語り合う主従をよそに、帝王が右手のレイジングハートを微かに振ると空間にフェイトとバーベリィの 交戦映像が映し出された。続いて映像はジュエルシードで巨大化したザケムボーとの戦いに切り替わる。 「フェイト・テスタロッサ、そして使い魔アルフよ。雄闘バーベリィを撃墜し、結晶体ジュエルシードを 強奪。また余の所有するジュエルシードを狙ってザケムボーと交戦、これを撃破。我が帝国の領土内での お前達の身勝手極まる振る舞いは万死に値する」 そこで帝王は一旦言葉を切り、フェイト、アルフの順に視線を向ける。 「その……ごめんなさい。私達、どうしてもジュエルシードが必要だったんです」 「謝ってすむと思ってんのかよ!」 「そうだそうだ!」 「このガキ!ネロス帝国を舐めてるのか!!」 思わず謝罪が口に出たフェイトに帰ってきたのは、周囲からの罵声だった。 「チビが少し空を飛べるからって調子に乗りやがって!」 「モンスター軍団舐めとったらいてまうで!!」 「やめんかお前達!!帝王の御前だぞ!」 バルスキーの一喝により、場は静まり返る。 何事もなかったように帝王は話を続けた。さりげなく、それでいて少女達の運命を左右する重要な話を。 「帝国の定めに照らせば極刑が妥当。だがお前達ほどの実力、殺すには惜しい。余に仕えよ」 「はん!黙って聞いてりゃどいつもこいつも勝手な事を……え?」 周りじゅうから好き勝手に怒鳴られ続けていい加減イライラしていたため反射的に言い返してしまった アルフだが、聞き捨てならないことを耳にしていたことにすぐ気付いた。 『殺す』、帝王ゴッドネロスははっきりそう言った。改めて周囲を見渡すと、気のせいかさっきよりも 自分たちに向けられる殺気のような物が強くなっている気がする。 アルフの背を嫌な汗が流れ落ちた。狼の姿をしていれば全身の毛が逆立つような感覚だろうか。 「ごめんなさい、私達にはやらなければならないことがあるんです」 本能的に今が非常にまずい状況だと気付きつつあるアルフはさらにもう一度周囲を見回して出口を探す。 だが室内を埋め尽くす戦闘員に隠されて壁際の様子は見えない。一方、根が素直なフェイトは思わず 正直に返答を返してしまっており、アルフは内心気が気でなかった。 (ちょっとフェイト!そんな馬鹿正直に答えたらまずいよ!) (どういうこと?) フェイト・テスタロッサは極めて優秀な魔導師である。次元世界において公権力を行使する 時空管理局でも彼女に勝利しうる魔導師は限られてくるだろう。 だがしかし、彼女にはあまりにも経験が不足し過ぎているのだ。 自分を手ひどく扱う母親でさえ慕い続ける本来は優しすぎる少女、人の善意を信じてやまない 彼女には掛け値無しの悪というものがどういうものかを理解する能力が欠けていた。 今フェイト達の前にいるのは純然たる悪と言ってよい存在だというのに、まさか本当に殺しはしない だろう、という甘い見積もりがフェイトの中にはあったのだ。手加減の効かないライフルでの狙撃で 自分が墜とされたことに気がついていれば、あるいはフェイトももう少し警戒したのかもしれないが。 「ふむ、拒否するか……ならば仕方あるまい」 帝王がすっと目を細めた瞬間である。 「きゃあっ!」 ヨロイ軍団烈闘士タグスキー、タグスロンの兄弟がフェイトを地面に引きずり倒した上でその背中を 踏みつけ、それぞれの得物である太刀と長刀を交差させてフェイトの首に突きつけた。 白く華奢な首が床と二本の武器で挟まれ、フェイトは身動き一つ出来なくなる。 目にも留まらぬ早業であった。 「フェイトォォォ!!!」 絶叫し、飛びかかろうとするアルフ。その瞬間的な加速はタグ兄弟に一歩遅れてアルフを取り押さえ ようとしていたバンコーラとガマドーンが反応出来ないほどのものだったが、アルフの拳がタグスキーに 届くことはなかった。彼女の全身にまとわりつく青白い燐光がその動きを封じたのだ。 「ぐっううう!バインドか!!畜生、離せ!」 「アルフ……!」 急加速を強制的に止められて、アルフは一瞬息が詰まる。 止めたのは帝王の魔法、レイジングハートから得た情報により修得したばかりのリングバインドだ 魔力、構成ともに強力なその呪縛は、有能な使い魔であるアルフにも簡単には破れそうにない代物だった。 (実に便利なものだな……これなら生身の人間がバーベリィを墜とすことも可能か) 地球の全てを支配せんとする帝王であったが、ここ最近は未知の技術との接触に驚きの連続だった。 ジュエルシードの発見に始まる魔法文明の産物の取得、類い希なる戦闘能力を持った魔導師という存在、 そして今自らの手で振るったインテリジェントデバイスの性能。全てが新鮮であった。 レイジングハートは帝王の意志を読みとり、極めてスピーディに、そして強力に魔法の行使を補助する。 結果、デバイスを通して行使された魔法は帝王がこれまで使っていたものに比べ全てが圧倒的なものとなる。 威力、スピード、精度。帝王自身が自らの魔法に驚嘆するほどデバイスの効果は高かった。 そしてそれは同時に帝王の中に新たな疑念を呼び起こす。 この『インテリジェントデバイス』で武装した集団と戦った場合、帝国は勝利し得るのか? 故に事には慎重に当たらねばならない。魔法と、それを行使する者についての情報がもっと必要だ。 暴れながら悪態を突き続けるアルフを冷たい目で見据えると、傍らに控える秘書Sに声をかけた。 「例の物を」 「はい」 帝王の命に従い秘書Sが短めの黒いベルトのような物を持って来る。 恐ろしく強力なバインドに絡め取られ自由なのは口だけであるアルフは、得体の知れない物を持って フェイトに近づく女を見て一際大きな怒声を上げた。 「あんたたち!汚い手でフェイトに触るんじゃ…」 「黙れ」 「あっぐうう…!」 忠実な使い魔を黙らせるために帝王はアルフの首のバインドを締め上げた。 バインドを破るべく頭の中で組んでいた魔法の構成も同時に吹き飛んでしまう。 「が……は………!!!」 呼吸を完全に封じられ、苦悶の表情でもがくアルフの姿はフェイトに耐えられるものではなかった。 自分の首に刃物が突きつけられていることも忘れて彼女は叫ぶ。 「やめて!お願い、アルフを助けてください!」 「ふむ……」 少女の涙ながらの懇願もどこふく風といった様子で、帝王はバインドをゆるめない。 それを見てニヤニヤと笑う者も周囲には多くいた。 「お願いします!何でもしますから、アルフを殺さないでっ!!」 「全てはお前達次第だ……おとなしく余に従えるか?」 「従います!従いますからっ!!」 「ならばよかろう」 帝王が軽くレイジングハートを振ると、ようやくアルフの首のバインドが緩む。 もっとも緩んだだけでバインドは未だ首に巻き付いているし、四肢は身動き一つ出来ないままだ。 「ガハッ!ガフッ…ハァ…ハァ…」 「アルフ……」 少し咳き込みながらも呼吸を再開するアルフを見てほんの少しだけ安心したフェイトだったが、 事態は何も改善していない。帝王がその気になればアルフを即座に殺せることにはかわりはなかった。 「タグスキー、タグスロン。剣を引け」 『はっ』 タグ兄弟が各々の得物を首下から外したため、ほんの少しだけ死が遠のいたフェイトは 床に伏せた状態から身を起こし、青ざめた顔のままでその場に座り込んだ。 帝王が視線を向けるとうなずいた秘書Sはフェイトに近づき、持ってきたベルトのような物を その首に巻き付ける。今更抵抗する気のないフェイトは黙ってそれを受け入れた。 厚さに似合わないずっしりとした重みが、虜囚の身であることをいやでも彼女に教える。 首に付けられたそれにそっと触れると、誰に聞くとも無しにフェイトは呟いた。 「これは……首輪?」 「その首輪には受信機と爆弾を仕掛けておる。ある電波を一定時間受信しなければ爆弾が 作動してお前の頭は粉微塵だ。当然無理に引き剥がしても爆発する。 これが何を意味するか分かるか?」 「………!!」 自分の首に付けられた物の正体を聞いて愕然とするフェイトには答える余裕など無い。 「余の帝国から逃れることは決してできんということだ。お前には知っていることを洗いざらい吐いて もらう。お前がどこの組織に所属しているか、その組織の戦力はどれくらいか、何故ジュエルシードを 集めていたのか……全てをな。まずはそうだな、お前の所属する組織について答えてもらおう」 「あ…………う…………」 「どうした?答えよ」 「……それ……は………」 「貴様……帝王がお尋ねになっておられるのだぞ、早く答えんか!」 ドランガーの怒声に思わず身を竦ませるフェイトは、ショックの大きい事態が続いてパニックに陥り 言葉が詰まってうまく答えられないようにも見える。 見かねた豪将ビックウェインは思わず止めに入った。 「おそれながら帝王に申し上げます。いくら腕が立つとはいえ相手はまだ子供、 少し落ち着かせた方が良いのでは」 「何甘いこと言うとるんや。ガキなんて脅しつけたらすぐ素直になるで」 「2人とも、やめよ」 フェイトとアルフの置かれた状況にいささか同情的なビックウェインと弱者への哀れみなど 欠片も持たないゲルドリングの意見が一致することなどなさそうだったため、帝王は言い争いになる前に 早々に会話を打ち切らせる。そして少しばかり思案した上で後者の意見を採用することにした。 「時にフェイトよ――――」 レイジングハートに込める魔力を少しだけ強めながら、帝王は言葉を続ける。 「随分と使い魔をかわいがっているようではないか」 「………!!」 言外に込められた意味を悟ったフェイトは思わずアルフの方を向く。 未だ空中に縛られたままのアルフは泣きそうな顔でフェイトを見ていた。 (フェイト、あたしはどうなってもいいから……自分のことだけ考えて…) アルフから苦しそうな声の念話が届く。殺されかけても尚フェイトのことだけを考える健気な使い魔。 もう限界だった。フェイトには耐えられなかった。 「…うう……私たちがジュエルシードを集めているのは、……うっぐすっ…母さんが… あれを求めている…から……です…」 脅迫に屈し母プレシアを裏切っている、その事実がフェイトの心を切り刻み、堪えきれなくなった 彼女は嗚咽混じりに答えを返した。プレシアの役に立つ「いい子」であるため、ずっと封印してきた 涙が目からこぼれ出す。 母のためだったらどんなことでも耐えられた。どんなに辛い目に遭わされても、命の危険を感じる戦いでも。 だからといってアルフを自分のせいで死なせるわけにはいかない。彼女もフェイトの大事な家族なのだ。 家族を失うこと、それだけはフェイトには耐えられなかった。 (母さん、ごめんなさい…ごめんなさい…!) だがもう1つ、フェイトが屈した理由がある。それは「死ぬのは嫌」という思いだ。 貴重な情報源をそう簡単に殺しはしないというネロス帝国側の事情をフェイトが知るはずはない。 今彼女が感じているのはアルフが殺された後、自分も殺されるだろうという恐怖だった。 ちなみにフェイト自身はそのことに気付いていない。いや、その事実を直視しないようにしていた。 我が身可愛さで母親を売った、と認識することはフェイトの全てを崩壊させかねないのだ。だから彼女は 無意識のうちに都合のいい理由に飛びついた。「アルフを助けなければならない」という理由に。 もっとも、秘匿すべき情報を吐きプレシアを裏切っているというだけでフェイトが苦しむ理由としては 十分だった。 こんな暗いところで理不尽に命を奪われ、母さんの下に帰れないのだけは嫌だ。 例え母さんを裏切ってでも母さんの下に生きて帰りたい。だけどそんな私が許せない。 矛盾した思いがフェイトを責める。幼い心は既にちぎれそうなほど打ちのめされていた。 「では次は―――」 しかし尋問は始まったばかりである。苦痛と絶望に満ちた時間は当分終わりそうになかった。 「ふむ、こんなところか……これ以上の情報は得られないようだな」 尋問の途中で何度もアルフの首が締め上げられ、その度にフェイトが泣き叫びながら 「本当にこれ以上は知らないんです!」と訴える場面があったが、 どうやら帝王は満足したらしくフェイトとアルフはなんとか生き延びることが出来た。 「ゴチャック、お前はフェイトを牢に連れていけ。ビックウェイン、見張りにはお前が当たるのだ」 「はっ!」 「了解!」 「小娘だからといって決して気を抜くことは許さんぞ」 「もちろんです帝王」 戦闘ロボット軍団烈闘士ゴチャックが泣きはらした真っ赤な目でうずくまるフェイトを抱え上げると、 同じく戦闘ロボット軍団である豪将ビックウェインは、至近距離での魔法で2人同時に機能停止 させられることを警戒し、少し距離を置いてからゴチャックに続く。 何度も殺されかけたアルフは、グッタリとした様子でフェイトの名を呟くことしかできなかった。 もう念話を送る気力もないのだった。 「フェイト…」 (アルフ…ごめんなさい、私のせいで…) 念話が届かなくなるまでフェイトはアルフに謝り続けた。 「さて使い魔アルフよ、余はお前達の使う魔法にも興味がある。どれほどの事が可能なのか、どういう 局面において有効なのか……実地試験に協力してもらうぞ」 協力、などと言っているが実際には命令である。 フェイトの命を握られたアルフに逆らえようはずもなかった。 「何で、何でこんなことを……」 どうしてこんな酷い真似が平然と出来るのか。アルフはそう思って呟いたのだが、帝王は 何故魔導師であるフェイトではなくアルフを使って魔法についての調査を行うのか、 という意味と受け取った。 「知れた事よ、魔導師は使い魔を切り捨てることが出来るが使い魔は己の主を裏切れん。 フェイトの命が惜しくばお前は余に従うほか無いのだ」 「悪魔め……!」 「悪魔?違うな、余は神だ。全知全能なる神、ゴッドネロスだ! フフフ…ハァーッハッハッハッハッハッハッ……」 帝王の高笑いが木霊する中、アルフは絶望と屈辱に涙をこぼした。 戦闘員達が退出し、人気の無くなった謁見の間で帝王は金色のプレートを取り出し それに話しかける。 「これで分かったであろう?何者も余に逆らうことはできんということがな」 「……………………」 「主の身を守りたいのであれば……どうすべきなのかは分かるな?」 「…………Yes,…sir…」 寡黙なインテリジェントデバイスが悲劇的な運命に囚われた少女のために出来ることは、 帝王に従い所有するデータを供出することだけだった。 牢屋。それはネロス帝国において最も稼働率の低い施設と言っても過言ではない。 軽微な軍規違反には電磁鞭などによる制裁が加えられ、また反逆をはじめとする重度の違反者は直ちに 処刑されるため、ネロス帝国の戦闘員が牢に入れられることはまず有り得ない。 人質を取る、情報を吐かせるなどの目的で捕虜を捕らえた場合でも、ゴーストバンクの位置が 万に一つでも知られないように外部の施設が使われる。 今回のように、ゴーストバンクに連れ込んで帝王が直接尋問するなどと言うことは滅多にない。 これは、未知の魔法技術に対する帝王の関心の高さを表す事例と言えるだろう。 つまるところ、その滅多に使われない牢屋に今フェイトはいるのだった。 「母さん……アルフ……ごめんなさい……ごめんなさい………」 絶望感に苛まれるフェイトをよそに、牢の前では2人の戦士が話し合っている。 「しかしビックウェイン、あなたほどの方が見張りなどと…」 「その考え方は危険だぞゴチャック」 1人は右手のボウガンが印象深い鈍色の戦士、豪将ビックウェイン。数々の武勲を立て、 伝説の巨人の異名を持つ男。右腕から発射される矢は何人もの要人の命を奪い、頑強なボディと 剛力による比類無き戦闘能力は一つの国家そのものを終焉に導いたことさえある。 そしてもう1人は白色の装甲に身を包む烈闘士ゴチャック、格闘戦のエキスパートで ビックウェインの愛弟子でもある。彼は歴戦の勇者である師を深く尊敬していた。 「魔法という未知の技術にこの歳でバーベリィを下すほどの実力、武器を奪い仲間と引き離し枷を 付けたからといって決して油断はできん。帝王がわしに見張りを命じられたのはフェイトが脱獄を 図った際に即座に抹殺できると見込まれてのことだ」 「申し訳ありませんビックウェイン!私の考えが足りませんでした」 「まあ地味な仕事には違いないがな、戦場に赴くよりはずっと気が楽だ」 微かな自嘲を込めて笑うビックウェインだが、ゴチャックはその意味に気付かない。 「何をおっしゃいますか、あなたらしくもない」 「わしらしくない、か……確かにそうだな。ところでフェイト、今の話は聞いていたと思うが」 ゴチャックの方を向いていたビックウェインに視線を向けられるが、フェイトはどんよりと濁った瞳の まま視線を落とし目を合わせようとはしなかった。 「実のところわしもお前のような幼子の命を奪うのは忍びない。くれぐれも軽率な行動は慎んでくれ」 「…………はい」 フェイトは消えそうな声で返事をするのが精一杯だった。 その様子を見ながら、自分との余計な雑談がビックウェインの任務の妨げになってはいけないと考えた ゴチャックは退出することにする。 「それではビックウェイン、私はこれで」 「うむ。研鑽を怠るなよゴチャック。まだ見ぬ強敵が来る可能性はあるのだからな」 「無論です。ビックウェインもお気をつけて」 ゴチャックを見送りながらビックウェインは先ほどの尋問でフェイトが白状したことを思い出す。 特に気になるのはフェイトを差し向けたというプレシア・テスタロッサのことだ。 プレシアにはこれ以上フェイトのような魔導師の配下はいないが、傀儡兵なる無人兵器を所有している らしい。フェイト自身は実際に戦闘を行っているところを見たことはないそうだが、少なくとも 大きさはネロス帝国の戦闘ロボットよりはかなり大きいとか。 いわば魔法で動くロボットであるこれら傀儡兵がどれほどの戦闘能力を持つのか、ビックウェインは そこが気になっていた。 基本的に本拠地から離れる機能は持たないそうだが、フェイトが知らないだけなのかもしれない。 それにしてもこの娘もよくよく運がない、ふとビックウェインはそう思った。 聞けば、フェイトは母親に喜んで貰いたい一心でジュエルシードの回収に精を出していたのだという。 それがネロス帝国に捕らえられ、おそらくは母と再会することは二度とないだろう。 ひとたびゴーストバンクに入り込んだ者が逃れることなど有り得ないし、 事によってはプレシアと戦いになりその命を奪うことになる可能性もある。 もしかしたら脱走を図ったフェイトをビックウェイン自身が殺すことになるかもしれない。 (母と子の絆をブチ壊してその命を奪う、か。いい加減うんざりだ) 誰にも話していないことだが、実はビックウェインは戦いばかりの人生に嫌気が差してきている。 当人は戦いをあまり好まない穏やかな性格なのだが、いざ敵を前にすればその電子頭脳の中枢に刻まれた 闘争本能が目覚め、相手の死が決定的になるまで戦いをやめることはない。 そうして何人もの未来ある若者達の命を奪ってきたことをビックウェインは悔いていた。 だが、悔いたところで彼に何が出来よう。戦闘ロボットは主人の命に従い戦うことしかできないのだ。 「私達は……」 「ん?」 自らの人生について思索していたビックウェインに、今度はフェイトの方から話しかけてくる。 「私達は……これからどうなるんですか…?」 床の方を見つめながらフェイトが呟く。 彼女が何を聞こうとしているのかビックウェインにはすぐに分かった。 『生きてここを出られるのか』フェイトの質問の意図はそこにある。 「……帝王は自分の敵には決して容赦しない恐ろしいお方だ。そして裏切りも絶対に許さない。 刃向かう者は尽く死ぬことになる」 「………」 「だが服従する者には寛容さをお見せになる。それが真に有能な者なら尚のことな。 もしあの女、アルフといったか。あいつが帝王のために役に立って見せたらお前達の処遇も 少しはよくなるやもしれん」 もっともネロス帝国から逃れられる可能性はゼロだろう、ビックウェインはそう思ったが ここで今以上にフェイトを絶望させる気は彼にはなかった。真実を伝えることより隠すことの方が 時には残酷だが、優しい心根のこの豪将は今は生きる希望を持たせた方がよいだろうと考えたのだ。 「そう…ですか……」 「ああ。お前はまだ若い、全てに絶望してはいかん。生きている限り希望は必ずある」 「あり…がとう…ございます……うっうう…」 ゴーストバンクで目を覚ましてからまだ3時間も経ってないはずだが、まるで何日も 地獄を味わわされていたような心境だったフェイトは、この帝国で初めて触れた優しさに 堪えきれずまた泣き出してしまった。 (いかん、慰めてやるつもりだったが泣かせてしまったぞ!どうすればいい!? こいつは100人の兵士を相手にするよりも厄介だ!) さしもの伝説の巨人も泣く子には勝てないのか。 しくしくとすすり泣くフェイトを前に攻めあぐねているビックウェインだったが、 聴覚センサーがこちらに近づいてくる足音を感知したためそちらに意識を向けた。 足音が随分軽いため、戦闘員ではないとビックウェインは判断する。 ほどなくして彼の予想通り、ローブに身を包んだ1人の女が姿を現した。 「失礼いたします、ビックウェイン様。捕虜の世話をするように命じられて参りました、 ウィズダムと申します」 「モンスター軍団の奴隷女か、いいところに来てくれた!わしは戦闘には自信があるが 子供の扱いなど知らんのだ。その娘の身の回りのことはお前に任せたぞ」 「かしこまりました」 泣いている子供にオロオロする豪将、などという醜態を晒さずに済んで内心ほっとするも、 子供の涙一つ止めてやれない自分の不甲斐なさに怒りも感じるビックウェインであった。 優しい心の持ち主にネロス帝国は住みづらい。 それが例えビックウェインのような強者であっても。 牢屋に入れられたフェイトとは違い、アルフにはかなりの自由が認められていた。 単なる発信器だけが内蔵された首輪を付けられたものの、フェイトの投獄されている区画以外は ゴーストバンク内では自由な行動が許されている。脱走の危険はないと読まれているからだ。 使い魔は主を決して裏切れない、帝王の言ったとおりである。フェイトという鎖がある以上 アルフはどこにも逃げることは出来なかった。 しかもどういうわけかフェイトに念話が通じない。ゴーストバンクを構成する建築素材のせいなのか、 あるいは何らかの阻害装置があるのか、その理由はアルフには見当がつかなかった。 ただ、使い魔と主の精神的な繋がりからフェイトの哀しみと絶望が伝わって来るばかりである。 ちなみに現在の彼女の身分は帝王直属の秘書KとSの更に下に位置する。 帝王直属といえば聞こえはいいが実際には彼女たちは帝国における雑務を行うことが多く、 各軍団から仕事を頼まれることもしばしばである。 それより更に下のアルフは、言ってみれば全軍団から好き放題に扱き使われる立場であった。 各軍団の様々な任務に従事し、魔法の力を役立てると共に魔法の運用についての情報を収集する、 それがアルフに与えられた任務である。 特に急ぎの仕事はないのか出撃命令が出ていないため、今アルフには考え事をする時間が 与えられていた。暗い通路に座り込んで使い魔は考える。自分と主が生き長らえるためには どうするか。いや、自分はどうなってもいい、フェイトを生かすためにはどうするべきか。 自分が考え事に向いているとは思っていないが、今回ばかりは頭を使わざるを得ない。 とにかく落ち着いて、状況を整理することから始めることにした。 そもそも、この世界に魔法は存在しないはずだ。事前の調査でも魔法文明は確認できなかったらしいし、 今の今までジュエルシード以外の魔力を感じたことはなかった。 だがゴッドネロスが持っていたのは明らかにインテリジェントデバイス、ミッドチルダを中心とする 魔法文明によるものだ。 しかしゴッドネロスは『魔法について調査』、確かにそう言っていた。 自身がミッドチルダ式とおぼしき魔法を使っていたにも関わらず、である。 (……辻褄が合わないね) 魔法文明の無い世界にいる魔導師、存在しないはずのデバイス、そして自分自身が使っていた ミッドチルダ式の魔法をよく知らないらしい。ということはミッドチルダについても知らないのだろうか。 アルフは帝王についていくつかの可能性を考えてみる。 自分たちと接触する前に他の魔導師と接触があった? ジュエルシードと同様に事故でデバイスが流れ着いた? 別世界の出身である次元犯罪者? ――――いくら考えても答えは出ない。情報が少なすぎるのだ。 考えが煮詰まってイライラしてきたアルフは、それよりもこれからどうするべきかを考えることにする。 脱走する?有り得ない、フェイトが殺される。 戦ってフェイトを奪い返す?不可能だ。帝王の実力は明らかに自分の上を行くし、謁見の間にいた 連中の中にも見るだけで震えを感じるような奴らが何人もいた。 獣ならではの本能的な勘が、彼らが自分より強いと教えていたのだ。 どうあがいても反抗は無謀である。そこでアルフは大胆に発想を転換することにした。 いっそのこと服従し、帝王に媚びを売ってみせればどうだろうか。 先ほどの部屋にずらりとそろっていた怪物達の中に魔力を発する者は1人もいなかった。 今まで見た限り、この帝国には帝王以外に魔法を使う者はいないらしい。 ここでアルフは閃いた。 帝国に仕えろ、ほんの一言だがゴッドネロスは自分たちを勧誘していた。フェイトとアルフの能力を 欲しがっていたのだ。仮に心変わりして帝国に仕えると言ったら、あの男は自分達を受け入れるだろうか。 ……そんな甘い相手とは思えない。むしろ裏切り者など信用できない、と殺されるかもしれない。 だがもし魔導師の部下というのが、帝王が欲してやまない物だったならば―――― (あたし達を戦力として組み込もうとするかもしれない!) 突破口はここしか思いつかなかった。すなわち、帝国のために役に立ってみせること。 帝王がフェイトとアルフを殺したくないと思うまで。 方針は決まった。 脱出の算段は後回しだ。まずは帝王に気に入られてフェイトの身の安全を確実なものとしなければ。 「ここにいたかアルフ」 自らの思考に没入していたアルフはその声に現実に引き戻された。 顔を上げてみると、目の前に暗い色の軽装甲を身につけた男が立っている。 (こいつ、いつの間に!?) いくら考え込んでいたからといって、この至近距離まで接近に気がつかなかったことに衝撃を受けた アルフだったが、それも仕方のないことかもしれない。 「仕事だ。俺達と一緒に来てもらおう」 彼の名はガラドー。ヨロイ軍団爆闘士の地位にあり、忍びのガラドーの異名を持つ男だった。 (フェイト………あたしはこれから悪いことをたくさんすると思うよ。もう笑ってあんたの前に 立てない薄汚れた存在になるかもしれない。だけど、だけどね。あんただけは絶対守ってみせるから。 フェイトの命だけは絶対に守るから!) 届くことのない念話でアルフはフェイトに語りかける。彼女に聞いて欲しいわけではない、これは誓いだ。 主を守るための、哀しい使い魔の誓い―――― 「で、あたしは何をすりゃいいんだい?」 武装を格納し、普通のワゴン車に偽装したダークガンキャリーの車内でアルフはガラド-に尋ねた。 現在車内にはガラドーとアルフ、それにヨロイ軍団の軽闘士・影が3人いる。 影は忍びのガラドーに付き従う下忍のような存在でそれなりの数がおり、諜報をはじめとする多方面で ヨロイ軍団を支えていた。 「この写真を見ろ」 アルフが手渡された写真を見ると、そこには1人の人物が写っている。一目で日本人と分かる黒髪の 少女、年齢はフェイトより3~4歳上だろうか。 「その写真の娘が今回の標的だ。もうすぐこの道を通り帰宅する」 「標的……?」 標的という言葉にアルフは嫌な予感がしてくる。 「伊集院宗徳という男がいた。その男はネロス帝国の秘密を知っていたため豪将ブライディに 始末され、財産も全てネロス帝国が奪った。家族も全員殺したはずだった」 恐ろしい事実を何でもないことのように淡々と語るこの組織の有り様に、アルフは改めて戦慄する。 「だが一人取りこぼしがあった。そこに写っている伊集院の孫娘だ。お前の今回の任務はその娘を……」 ガラドーはアルフの方に目もくれず衝撃的な言葉を告げた。 「抹殺することだ」 「あ、あなた達、一体なんなんですか!?私をどうする――」 「……すまないね」 アルフが小さく呟くと、結界で隔離された薄暗い廃屋に一条の閃光が走る。 殺意を持って放たれた魔法は、帰宅途中に拉致された哀れな少女の体をたやすく突き抜けていった。 それだけで、立った一発の魔法を撃ち込んだだけで。伊集院唯は動かなくなった、永遠に。 あっけないもんだ、アルフはそう思った。 それは自分の手で消してしまった命のことだけではない。 契約の際に与えられたヒトとしての倫理観、自分の中にある一線のことでもある。 (考えてみりゃあたしは昔野生の狼だったんだ、命を奪うなんてなんでもないことだ。 なんでもないことなんだ……) 肉食動物は他者の命を奪って生きる。そう、昔に戻っただけだ。 だけどフェイトはどう思うだろうか。 ………関係ない。 例えフェイトに嫌われようが、恐れられようが。アルフに止まる気はなかった。 『どんな手段を使ってもフェイトを守る』 その誓いのためなら、どれだけ血にまみれても平気に思えた。 いや、平気だと思いこもうとしていた。 「存外思い切りがいいな。もう少し躊躇するかと思ったが」 「フェイトのためだ……なんだってやってやるさ」 「それに手際もいい。便利だな、魔法というやつは」 高速での飛行に結界による隠蔽、人間をたやすく抹殺しその殺害手段の痕跡は残さない。 実際に目にした魔法の威力にガラドーは舌を巻いた。 特に指定した相手だけをとりこむというこの結界魔法―――本来は魔力を持つ者だけを選別する らしいが―――があれば、困難な暗殺任務も極めて安全に、そして一切の目撃者を出すこともなく 確実に遂行できるようになるだろう。 (この技術が完全に我が帝国の物となれば世界の支配も容易な物となるな) 念のため、目を見開いたまま動かない少女の瞳を覗き込みさらに脈と呼吸を確認しようとする。 その時言いしれぬ悪寒を感じたガラドーは横っ飛びに大きく跳ねた。 「スティンガーレイ!」 間髪入れずに降り注ぐ光の弾丸。5発撃たれたスティンガーレイは3人の影とアルフ、そして 一瞬前までガラドーがいたところを寸分の狂い無く撃ち抜いていた。 魔法に対する防御手段を持たない3人の影は、それだけで昏倒する。 アルフは瞬間的にフィールドを張りながら身を捻るも、たやすくフィールドを貫いた魔法はアルフの右腕を 撃ち抜いていった。非殺傷設定による痛みとしびれが右腕から正常な機能を奪う。 「何者だ!」 誰何の声を上げながらガラドーが光が降り注いできた上方を見上げると、そこには黒いバリアジャケットを 身に纏った少年が浮いていた。 (この小僧、こいつは何故宙に浮いている!よもやアルフにまだ仲間がいたか!?) (何で魔導師が!?ちゃんと結界張ってたし、この世界にはには他に魔導師なんて……まさか!) もともと封鎖用の結界ではなかった上に、人を殺したことによる動揺を押さえ込もうとしていた アルフは結界への侵入に気づけなかった。だが、目の前の魔導師の正体に見当がついたときアルフの 顔から一気に血の気が引いた。相手が悪すぎるからである。 「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ」 (やっぱりか!) 嫌な予測が当たって内心焦りまくっているアルフをよそに、少年は怒りを押し殺した静かな声で 語りかける。それは荒々しい態度となって外側に現れる怒りではなく、内側で冷たく激しく 燃えさかる氷のような激怒であった。 サーチャーが検出した結界の反応を調査しにやってきてみれば、使い魔らしき人物が殺傷設定の魔法で 人を殺した現場に出会ってしまった。あとほんの少しだけ早くここに来ていれば、術者に気付かれ ないための潜入ではなく結界の破壊を伴う突入を敢行していれば、殺人を阻止できたかもしれないのだ。 故に彼は静かに怒り狂っている。殺人を犯した犯罪者に、そして犠牲者を救えなかった自分自身に。 「管理外世界での魔法の使用、及び殺人の現行犯で……お前達を逮捕する!おとなしく投降しろ!!」 数多の次元世界において治安維持を行う組織、時空管理局。秘密裏にロストロギアの回収を行っていた フェイトとアルフにとっては最も出会いたくない相手だった。まして執務官といえば相当の腕利きのはず、 仮にフェイトとアルフの2人でかかっても勝てる可能性は低いだろう。 (なんて最悪のタイミングで現れるんだよこいつは!) 執務官であれば類を見ない危険な組織であるネロス帝国とも、もしかしたら渡り合えるかもしれない。 出会う状況が違えば、彼はフェイトとアルフを助けてくれただろうか。 だが管理局に助けを求めるなどという選択肢は今のアルフには許されていなかった。 まず第一に殺人の現場を目撃されてしまったこと。そしてもう一つ、何よりも重要なのは ここで管理局に投降などしようものならフェイトの命はないということだ。 実のところ、念話を使えばガラドーに気付かれることなく執務官とコンタクトをとることも可能なのだが、 精神的に追いつめられておりいささか視野狭窄に陥っているアルフはそこまで頭が回らなかった。 (やるしかない!あたしとフェイトが生き残るにはそれしかないんだ!けど……) オオカミの姿に変身しながら、アルフはチラリとガラドーの方を見る。 不意を打っての射撃魔法をよけ損ねたアルフや影達と違って、ガラドーは今の一撃をかわしていた。 魔法というアドバンテージを除いて単純な戦闘の技量で考えればアルフより上だろう。 ではアルフとガラドーで力を合わせれば執務官に勝てるだろうか?答えは否であると言わざると得ない。 ガラドーは魔法についての知識が不足している、アルフの実力は執務官には及ばない、 そしてアルフとガラドーの間には連携を取れるような信頼関係は存在していないためだ。 アルフとしては撤退を考えたいところだが、目の前の執務官がそれを許してくれるとは思えない。 だが、それよりも問題なのは隣にいるガラドーだった。この状況で『ネロス帝国に敵対する魔導師』が 現れるというのはアルフにとってかなりまずいと言える。アルフを助けに来た、とも考えられるからだ。 「アルフ、あれはお前達の仲間か?」 「え?ち、違うよ!言ってみれば敵!敵だよ!」 ここで管理局と仲間だなんて思われてはアルフとフェイトの命はいきなり消えることになりかねない。 アルフは大慌てで否定した。 「だったらその言葉を証明してもらおうか。アルフ、あの小僧を殺して見せろ」 「ええ!?ちょっと待って、執務官てのはすごい腕利きなんだ。あたし1人じゃ無理だよ!」 「無論お前一人にやらせようとは思っていない、俺もやる」 そう答え、右腰の短刀を逆手に構えたガラドーは視線を周囲に走らせる。目に入るのは 力尽き崩れ落ちた3人の影、幾多の戦場を共に駆け抜けた頼れる部下達の惨状だ。最早死んでいると しか思えないほどピクリとも動かない影達の姿はガラドーを激怒させるには十分であった。 「我が軍団の影が3人も……小僧、貴様の命だけで償いきれると思うな!」 「黙って聞いていればお前達っ!」 自分を無視して勝手な会話を続ける2人にクロノの怒りも臨界点に達しようとしていた。 特に、その会話内容はクロノの神経を逆撫でする。戦場に置いては感情をコントロールするよう 心がけていても、未だ若いクロノでは己の激情を完全に制御することはできないのだ。 「どうしてそんな簡単に…人の命を奪おうとするんだぁっ!!」 さて時刻は執務官とネロス帝国のファーストコンタクトが行われるほんの少し前、ユーノ・スクライアと 2人の男達は人気のない山中を歩いていた。いずれも、バリアジャケットを身に纏っている。 「それじゃあ少なくとも2つ以上の出入り口があるということになるのかな?」 「多分そうだと思います。僕があの傀儡兵と接触した場所はここから随分と離れていますから。 すいません、あの時意識がハッキリしてたら入り口があった場所も分かったんですけど」 「まあそう気にするなよ、無事に帰れただけでも幸いってもんだ。そうだろ?キール」 「クラッドの言う通りです。民間人の君がそこまで責任を感じる必要はありません」 「……ありがとうございます」 「ま、オレ達に任せとけば安心だって」 ノリの軽い赤毛のクラッドと物静かな銀髪のキール、2人の武装局員の仕事はユーノの証言を 基に現場の調査を行うことだった。 ユーノがブルチェックに掴まれてネロス帝国に連れ込まれたときは彼の意識が朦朧としていたため、 どこに帝国に入るためのゲートがあったのかまでは覚えていない。そこでまずは帝国から連れ出された ときのゲートがあった場所の付近を捜索することにしたのだ。ちなみに近隣の山々にも他の武装局員達が 派遣されており、それぞれ2人1組で調査に当たっている。アースラにはサーチャーという優れた 情報収集装置があるが、地下深くに存在する施設や念入りに隠蔽された出入り口を探すのはサーチャー には向いていないこと、ジュエルシードの捜索にも回さなければならないことから武装局員が 現地調査を行うことになったのだ。また本来ユーノは来るはずではなかったのだが、探索系は得意だ、 足手まといにはならない、実際に敵を見たのは自分だけだ、ジュエルシードを掘り出した者としての 責任が、などとあれこれと理由を付けて同行を希望しついにはリンディの許可を取り付けてしまった。 責任感が強すぎるのも考え物だ、とは最後まで難色を示した執務官の言葉である。 なお言うまでもなくネロス帝国の本拠に近づくこの行為は危険極まりない。リンディも有事の際には直ちに 撤退するように命令してはいるのだが、調査を行う現場の人間は『魔法文明を持たない現地の組織』を 甘く見ていた。彼らはまだ知らない。魔法と渡り合う質量兵器がどれほどのものかを。 そして彼らは気付いていない。今まさに背後から脅威が近づいていることに。 山中を一人の戦士が走っている。三日月の鍬形を兜に付け、腰に1本の太刀を差した青い鎧の侍、 その名をヨロイ軍団暴魂チューボという。 ヨロイ軍団はネロス帝国の中で最も勤勉とも言える集団である。 薬物やサイボーグ化による肉体の強化だけには頼らず、自らの技量を高めるため厳しい鍛錬を己に課す者 ばかりだ。チューボもまたその例に漏れず、時間が空いているときにはトレーニングを欠かさない。 現在は走り込みの真っ最中であった。 鎧の重さを感じさせない軽快な動きで走り続けるチューボの本日の予定は、ゲート8を出て 険しい山中を駆け抜けた後、日課の素振りをこなしてゲート6から帰還というものだった。 だが、目的地であるゲート6の近くでおかしな光景を目にする。 大人2人に子供1人、奇妙な服装と派手な髪が特徴的な3人組だ。 この一帯はネロス帝国の勢力圏であり、表向きは資産家の私有地ということで立ち入りも禁じられている。 外部とは道路も繋がっておらず、ここまで来るには険しい山林を越えてこなければならない。 万に一つ、山で迷った人間ということもあるが、登山用の装備などは持っていないし疲労の様子も見えない。 (まさかどこかの組織の密偵か?) ブルチェックが逃がした動物から情報が漏れるかも知れない、帝王はそう危惧していた。 このタイミングでゲート6の近くに姿を現すということはあの時の動物と関係がある可能性は高い、 そう結論づけたチューボは気配を殺し、前方の3人の様子を探ることにした。 ヨロイ軍団の軍団員は戦闘ロボット軍団や機甲軍団のような高性能のセンサーは持たないが、 目や耳は常人よりは遥かにいい。チューボは見た目に反して静かに動くと、どうにか3人組に 気付かれることなく会話が聞こえる距離まで近づくことに成功した。 「ところでユーノ君、その質量兵器満載のバケモノってどれくらい強いんだ?」 「ジュエルシードに取り込まれた生物を一蹴していましたから……半端な防御魔法は突破 されるんじゃないでしょうか。まさかクラッドさん戦う気なんですか!?」 間近でブルチェックが暴れるのを見たユーノには自殺行為に思えた。人間大の傀儡兵が装備する レベルとは思えない威力のあの大砲を連射されれば、防御魔法ごと粉々にされそうな予感がする。 「心配するなよユーノ君、管理局の魔導師はそのための訓練を受けてるんだぜ?」 「いやでも、僕らの知ってる質量兵器とはスケールが違うんですって!」 クラッドは敵を甘く見ている。自信に見合うだけの実力があるのならばいいのだが、ユーノはまだ 彼らのことをよく知らない。もしクラッドが敵の実力を過小評価しているのならそれはとても危険な ことだ。甘い見積もりが死を招きかねないことを、ユーノはつい先日体験したばかりである。 「クラッド、交戦は可能な限り避けるよう言われたでしょう?」 対してキールは冷静だった。 「ネロス帝国というのが次元犯罪者の隠れ蓑になっている可能性もあります。我々の任務があくまでも 調査だということを忘れないように」 「次元犯罪者ならユーノ君の魔力に気付かないわけはないだろ?」 「それはそうですが…」 3人は気付かない。ネロス帝国の名を口に出した瞬間周囲の空気が変わったことに。 暴魂チューボがこの3人をネロス帝国のことを探る者、すなわち敵と判断したのだ。 「ま、オレ達がその気になれば辺境世界のマフィアなんざイチコロだぜ」 「―――随分と勇ましいことだな」 「何!?」 「誰だ!?」 聞き覚えのない声に思わず振り返るキールとクラッド。いつのまに接近されたのか、青い甲冑の 男が背後に立っていた。その特徴的なフォルムはユーノにも見覚えがある。ブルチェックの手に よってゴーストバンクから連れ出される際、ブルチェックとチューボは通路ですれ違っていたためだ。 (クラッドさん、キールさん。あいつ、ネロス帝国の中で見かけました!) (ということはあれがとんでもない戦闘力の傀儡兵ですか。見たところ接近戦仕様のようですが) (言葉を話すって事は確かに人間並みの知恵はありそうだな) ユーノからの念話を受けて、クラッドとキールは油断無くチューボを見据えながら 愛用のストレージデバイスを稼働状態に切り替える。 「ほう、なかなか面白い手品だな……それはデバイスとかいう奴か」 カードが杖に変わるのを見てチューボは感心したように呟いた。 「時空管理局次元航行艦アースラ所属、武装局員クラッド・ゲイナスだ!」 「同じくキール・ベリオース。あなたがたにはロストロギア不法所持の疑いがかかっています。 よろしければ少しお話を聞かせてください」 すでにやる気十分のクラッドを目線で制しながら、キールはやや穏やかにチューボに話しかけた。 デバイスの起動を見た相手の反応が少し気になるが、今はそれにこだわらないことにする。 ちなみに時空管理局の名を出したのは次元犯罪者である可能性を考慮したためだ。次元犯罪者か 管理外世界の特異な集団なのか、それを探ることは今後の捜査のことを考えると重要なのである。 「言っている意味が理解できんが……名乗りを受けたとあっては応えねばなるまい。 俺はヨロイ軍団暴魂チューボ。貴様らは何者だ?」 ネロス帝国を探る者には死を。それは帝国においてごく当たり前のことである。相手がCIAやKGB のような地球の組織の諜報員ならばチューボもそれに従い直ちに斬りかかっただろう。 しかし今チューボの前にいるのは明らかに今まで戦ってきた敵とは違う。 魔法の存在をネロス帝国が察知し、魔導師なる者を捕縛したのはつい昨日のことだ。そしてその直後に 現れた新たな魔導師。2人の武装局員と1人の民間協力者がチューボから可能な限り情報を得ようと 考えているのと同様に、チューボもまた情報を得ようとしていたのだった。 「もしや時空管理局をご存知ない?」 「知らんな。何を目的とした組織だ?」 時空管理局の名は出すべきではなかったかもしれない。キールは内心しくじったと思っていたがそれを 表には出さずあくまでもにこやかに時空管理局について説明した。設立理念、行動目的、散逸した ロストロギアの危険性など。もっとも規模や戦力についてはぼかしつつだが。 「以上が時空管理局の概要です。信じられないとは思いますが……」 「地球外から来た魔法を使う治安維持機関か。信じがたい事だが…まあ納得することにしよう」 普段なら一笑に付すか一刀のもとに切り捨てる与太話だが、実際に別の世界から来たという捕虜を 見ている以上聞く価値のある話だとチューボは思っていた。 「……あの、本当に信じて貰えるのですか?」 まだなんの証拠も見せていないのに信じると言われたことに、キールの方が疑問を持つ。 チューボの反応は奇妙なものだった。『別の世界』の存在を知っているのに『時空管理局』を 知らない、そんなふうにも受け取れる。 「納得すると言ったはずだ。それで、お前達がここに来た目的は?」 (なあユーノ君、あれ本当に傀儡兵か?なんか俺、人間が会話してるとしか思えないんだが) (あの鎧の中に機械じゃなくて生物が入っている可能性もあるとは思いますが……) 一方、交渉事に向かない性格のクラッドと民間人であるユーノは会話に口を出さずチューボの様子を 観察していた。 (というかクラッドさん、そのデバイスにスキャン機能無いんですか?) (ああ、そういえばあったような) (クラッド……あの鎧の中身は人間ですよ。あなたまだ気がついてなかったんですか?) (分かってんなら先に言えよ!) 抜け目のないキールは会話しながら既に簡単なスキャンを実行していたのだった。 不満そうなクラッドをよそにキールは会話を続けていく。 「ジュエルシード、あなた方が回収した青い結晶体のことです。あれは先ほど説明したロストロギアの 中でもかなり危険な物なんです。下手をすればこの世界だけでなく他の世界をも巻き込んで次元災害を 起こすほどに。そうなればこの世界の全ての人間が死に絶えることにもなりかねません」 「ほほう…世界を滅ぼすほどの力か…」 おぼろげながらチューボにも全貌が見えてきた。つまるところ時空管理局は別世界の官憲で、帝国の 保有する結晶体ジュエルシードを回収しに来たのだ。そしてジュエルシードには核兵器どころではない 破壊力が存在するという。そこまで分かればもうこの3人には用はない。あとは己の職務を全うするだけだ。 「大体の所は理解できた……これ以上は貴様らを殺してから調べるとしよう!」 「なっ!?」 言いながらチューボは太刀を抜き放ち、身も凍るような殺気を放ちながらそれを構えた。 ネロス帝国を探る者には死を。それは帝国においてはごく当たり前のことなのだ。 『帝国がジュエルシードを回収したこと』を何故か知っていて、わざわざ『ゲート近く』に来る ような不審人物を生かしておく理由はチューボには存在しない。 太刀を構えたチューボに、高ランク魔導師にも似た凄みをキールは感じた。 「やはり危険な組織でしたか!ユーノ君、君は離れていてください!」 「は、はいっ!」 非戦闘員であるユーノを下がらせ、このコンビにおいては前衛を担当するクラッドが前に出る。 「田舎マフィア程度がっ!管理局の魔導師なめんなよ!!」 「暴魂チューボ、いざ参るっ!!」 かくしてほぼ同時刻、二カ所に置いてネロス帝国と時空管理局の戦いの火蓋が切って落とされたのだった。 ついにその姿を見せた時空管理局。 激突する次元世界の正義と地球の悪。 果たしてアルフは生き延びることが出来るのか? そして囚われのフェイトの運命は! 魔法帝王リリカルネロス 次回「守れ! 秘密基地」 こいつはすごいぜ! 提 供 桐原コンツェルン ヒュードラ製作委員会 フェイトと首輪の組み合わせに芸術性を見出す会 このSSは、暮らしの中に安らぎを、桐原コンツェルンと ご覧のスポンサーの提供でお送りしました。 戻る 目次へ 次へ
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作者別インデックス A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 あ い う え お か き く け こ さ し す せ そ た ち つ て と な に ぬ ね の は ひ ふ へ ほ ま み む め も や ゆ よ ら り る れ ろ わ を ん A ARMSクロス『シルバー』氏 上へ B Black氏 BLASSREITER LYRICAL氏 ◆bv/kHkVDA2氏 上へ C CCなのは氏 上へ D Devil never Strikers氏 ◆DppZDahiPc氏 上へ E ◆e4ZoADcJ/6氏 上へ F FS なのは×空の軌跡氏 上へ G ◆Gb6P9gjLww氏 上へ H HALOの人氏 上へ I IDOLA の人氏 上へ J K L LB氏 LMS氏 LYRICAL PSYCHIC FORCE StrikerS氏 Lyrical!とキマイラ氏 上へ M N NOCTURNE氏 ◆ncKvmqq0Bs氏 NZ氏 上へ O OROCHI氏 OSGS氏 上へ P Q R REQULIMER氏 上へ S SRW外伝魔法少女リリカルミヒロ氏 s.TRI..ed氏 Strikers May Cry氏 ◆suHZewzfpk氏 上へ T 上へ U V W X Y ◆Y0DG7nGjbg氏 上へ Z 0 1 19氏 上へ 2 217氏 230氏 242氏 上へ 3 322氏 367氏 上へ 4 42◆E11yWK.OuA氏 45氏 上へ 5 6 7 7-398氏 上へ 8 9 あ 赤いの二人でドグラマグラ氏 赤字氏 暁の女神氏 上へ い 一兵卒氏 五つの誓い氏 上へ う ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは氏 上へ え お か 仮面の男氏 仮面ライダーリリカル電王sts氏 上へ き キャロとバクラの人氏 究極の合体ポ○ラ氏 上へ く クレイジーなの。氏 黒い雨氏 黒い影氏 黒の戦士氏 上へ け 上へ こ さ 三十四代目スレ485氏 上へ し ジェダイ氏 ジャングルはいつもハレのちグゥ リリカル氏 十五代目スレ428氏 十代目スレ282氏 情に目覚めし黒き龍氏 ジョジョクロス『愚者の書』氏 白き異界の魔王氏 地獄の四兄弟氏 シレンヤ氏 上へ す せ 節制の14氏 戦国の鉄の城氏 上へ そ た 高天氏 旅ゆく人氏 上へ ち 超魔法重神氏 上へ つ て ティアナ・ランスターの憂鬱氏 テルミドール氏 天元突破リリカルなのはSpiral氏 上へ と ドラゴンボールZ番外編氏 時の地平線氏 上へ な なのはA s×ギアスクロスSS氏 なのはStS×覚悟のススメ氏 なのはStS×デモベ氏 なのはStS+φ’s正伝氏 なのはVSボウケン氏 なのは×終わクロ氏 上へ に ぬ ね ネクサスの人氏 上へ の は ひ 光と音のLNS氏 上へ ふ フェイト・T・ハラオウンの悪夢氏 フェレットゾンダー氏 フルメタなのは氏 ブレブレ×なのは氏 上へ へ 変な人達氏 平成セブン氏 上へ ほ 北斗の人氏 上へ ま 前スレ361氏 魔術士オーフェンstrikers氏 マスカレード氏 魔導新世紀リリカルなのはXtS氏 魔導ニュータイプ兵士 A氏 魔法王女氏 魔法少女リリカル外伝 すごいよ!なのはさん氏 魔法少女リリカルなのはGoodSpeed氏 魔法少女リリカルなのはsts masked rider kabuto氏 魔法少女リリカルなのはStylish氏 魔法少女リリカルなのはTES氏 魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS氏 上へ み む 無名氏 上へ め メタルサーガsts氏 上へ も や ゆ よ 四十三代目スレ115氏 四代目スレ292氏 上へ ら ラッコ男氏 上へ り リリカルBLACK氏 リリカル.exe氏 リリカルlain氏 リリカルSD戦国異伝氏 リリカルSIC氏 リリカルTRIGUN氏 リリカルガウザー氏 リリカルギアソリッド氏 リリカルソニック氏 リリクラ氏 リリカルケロロ軍曹STS氏 リリカル犬狼伝説氏 リリカル・コア氏 リリカルサンダルフォン氏 りりかる新人隊員氏 リリカルゾイド氏 リリカル鉄人氏 リリカルトリーズナー氏 りりかるな黒い太陽氏 リリカルなのはD w氏 リリカルなのはDHS氏 リリカルなのはFeather氏 リリカルなのは Nightmare氏 リリカルなのはVS厚生省氏 リリカルネロス氏 リリカル・パニック氏 リリカル剣(ブレイド)氏 リリカル無双氏 リリカル遊戯王GX氏 リリカル龍騎 リリカルルーニー氏 リリカル湾岸氏 りりる氏 リリレッド氏 る れ レザポ氏 ろ 六代目スレ135氏 ロックマンゼロ氏 上へ わ を ん
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FIGHT.00『忍び寄る、異世界への魔手!!』(前編) 天体戦士『リリカルサンレッド』この物語は川崎にて繰り広げられる善と悪の壮絶な闘いの物語である。 ~小田急線新百合ヶ丘駅ビル『ジョ○サン』~ 「エェッ!!魔法の世界へ出張ですかっ!?」 ファミリーレストランの客席から良く通る年配の男性の声が響く。周囲の客が視線を向けるとそこには紫の服に大きな兜をかぶり、 特徴的な眉と唇をした小柄な男性?川崎支部のヴァンプ将軍がいた。 「ウム、その通りだヴァンプよ。期間としては半年から一年以内を想定している。我々フロシャイムは世界制服のみならず、異世界への侵略も視野に入れているのだ。」 そしてその向かいに座る軍服を纏い左手と一体化したハサミを持つ、細身だが長身の男性?東京支部のヘンゲル将軍が静かだが威厳のある声で答えた。 「で、ですがヘンゲル将軍。そんな重要な仕事でしたら、私よりもヘンゲル将軍の方が適任だと思うのですが…?」 ヴァンプ将軍は自身が感じている疑問を口にする。それに対してヘンゲル将軍は 「ウム、確かに本来なら私がやるべき事だろう…だが私には残念ながらどうしても外せない重要な案件があるのだ。そこで私は信頼、 実力共に期待できるお前に任せてみようとおもうのだ。」 と答えた。ヴァンプは話を聞き「う~ん」と唸り、額の汗をお絞りで拭う。 「この件はフロシャイムにおいて非公式に行われるものであり危険も伴う…無論、拒否をすることも可能だ。ヴァンプもすぐには決めかねるだろう…返事は別の日でも構わん。」 ヘンゲルはヴァンプの葛藤を読み取り、説明を付け加える。 その後は何気ない世間話やお互いの侵略状況の話に花が咲き、コーヒーとココアの会計を済ませ駅の改札に向かった。 「あぁ、ヘンゲル将軍。新宿方面でしたら私は登戸で南武線に乗り換えちゃいますけど、途中まで一緒に帰りましょうよ♪」 切符を買ったヴァンプはヘンゲルに声をかける。それに対してヘンゲルは… 「すまないが私はこれから町田の『とらのあ○』に向かわなければならん。待たせているもの(決して者にあらず)がおるのでな…」 と答え、別れ際に「いい返事を待っているぞヴァンプよ。」と言い小田原方面のホームへと去っていった。 ヴァンプも「う~ん用事があるんじゃ仕方ないですね。では、ヘンゲル将軍もお気をつけて…」と答え、新宿方面の電車に乗ったがその背中はどことなく寂しそそうだった… ~続く~ ~おまけ~ 「ヘンゲル将軍、お帰りなさいませ」 「留守の間ご苦労だった、サミエル」 大きな紙袋を右手に、フロシャイム東京支部アジトへと戻ったヘンゲルを迎えたのは彼の右腕とも言える怪人、サミエルだった。 「フム、町田店は中々の品揃えだな…贔屓にしている喫茶店の関連商品を揃える事が出来た。」 ヘンゲルは紙袋の戦利品をデスクに並べ、物色を始めた。そしてその様子を近くで見ていたサミエルは口を開く。 「あの、ヘンゲル将軍。2つほど質問があるのですが宜しいでしょうか?」 「何だ」 ヘンゲルは右手に持っていた戦利品を置きサミエルへと顔を向ける。 「は、まずは本日寄られた『とらの○な』についてです。新宿にも店舗があると記憶していますが何故わざわざ遠回りな町田店へ寄られたのですか?」 「目先の情報に踊らされるなサミエル。確かに距離的には新宿店のが近い…だがあそこは書籍を中心に 扱っているため、他の店舗と比べ偏りが激しいのだ。距離だけで無く、現地の規模も視野に入れる。これは戦いにおいても言えることだ… してもうひとつの質問は何なのだ?」 ヘンゲルはハサミを鳴らし質問を促す。 「は、異世界への出張の件です。資料は幾つか拝見させて頂きました。そしてその中には『魔法少女』と呼ばれる人種も確認されています。 ですがヘンゲル将軍程の方がそれを見逃す筈がありません。 それらの情報を見ておきながら尚、将軍が辞退をする程の譲れない案件とはいったい?」 「……………サミエルよ、お前は私の事を良く理解しておるな。良いだろう、お前には事の真相を話すとしよう…私がどうしても譲れぬ案件を」 ヘンゲルはサミエルから顔をそらし、デスクに腰を下ろす。そしてサミエルの方へ顔を戻した時、場の空気が変った。自然とサミエルも背筋を正す。 「私の譲れぬ案件、それは… 三ヶ月後に『団鬼八先生のサイン握手会』が控えておるのだ。やはりファンとしてはこのイベントを見逃す事は出来ん。 そこで私は仲間として、友として信頼出来るヴァンプに話を持っていったのだ…」 「………」サミエルは団鬼八がH小説家である事やヘンゲルが愛読し、ファンレターを送るほどの大ファンである事も知っていた。だがサミエルは何も言う事が出来なかった… フロシャイム東京支部ヘンゲル将軍、彼の知能指数は150を超えるという――――― 目次へ 次へ
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~ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは 小ネタ集~ ○戦闘機人 ミライ「戦闘機人って、身体に機械を入れてパワーアップした、サイボーグみたいな人の事だよね?」 なのは「はい、そうみたいですけど……」 ミライ「じゃあ……」 『恐竜戦車』 ミライ「まさか、あれも戦闘機人の一種……」 なのは「ミライさん、それ何か違いますから」 ユーノ「そもそも元が人じゃないですって」 ~その頃のスカリエッティ家~ スカ「よし、新しいナンバーズの完成だ」 ウェンディ「ドクター、それ絶対戦闘機人と違うっすから」 ノーヴェ「てか、こんな妹嫌です」 【スカリエッティ 改造パンドン作成確認】 ○変身ポーズ エイミィ「ミライ君の変身するところって、何か結構カッコイイよね」 アルフ「うん、こう見事に決まってるけど……変身ポーズの練習をしてるとか? 」 ミライ「まあ……一応、タロウ教官にちょっとだけね。 それに、他の兄さん達だって……」 なのは「へぇ~……他のウルトラマンさん達がどんな変身するか、ちょっとみてみたいかも」 ミライ「うん、皆カッコイ……」 スカイドン戦 ハヤタ「……?」(ベータカプセルと間違えて、カレーライスのスプーンを掲げる) モットクレロン戦 光太郎「タロウー!!」(大根片手に変身) ミライ「……」 なのは「……ミライさん?」 ○変身ポーズ その2 ヴィータ「そういえばアスカって、変身する時に掛け声とかないよな。 ただ、リーフラッシャーを掲げるだけで……何っつうか、迫力にかけるって言うか……」 アスカ「掛け声かぁ……時々、ダイナーって叫びながら変身したりはしてたんだけどね。 よし……いい機会だし、何か考えるか」 ~数日後~ シグナム「アスカ、敵だ!! ダイナに変身してくれ!!」 アスカ「よっしゃあ!! 新しく考えた、変身の奴を試すチャンスだ!!」(リーフラッシャーを掲げる) ザフィーラ「ふむ……どんなの考えたんだ?」 アスカ「ヘキサゴン!!」(変身) 全員「「それは色んな意味でアウトだ、つるのぉ!!」」 ○特訓のお約束 ~14話のヴィータの特訓が、レオのアレだったら~ ゲン「その顔は何だ!!その目は何だ!!その涙は何だ!!」 ヴィータ「んなもんで追いかけられたら、誰だって泣くわぁぁぁぁぁ!!」 ダン(……ゲン、お前にとっての特訓はやっぱりそれなのか) 【ゲン 轢き殺さない程度のスピードで、ヴィータをジープで追い回す】 ○管理局の白い悪魔 ミライ「管理局の白い悪魔?」 フェイト「ええ、まあ……一部じゃ、なのははそう呼ばれちゃってて……」 クロノ「誰かが冗談で言ったことが、そのまま広まってしまったんだよな」 ミライ「白い悪魔……」 なのは『仏様を大切にしろ!! 大切にしない奴は、死ぬべきなんだ!!』 ミライ「ま、まさかなのはちゃんの正体って……!!」 ユーノ「いや、そっちの悪魔じゃないですから!?」 ○最初に見た時、茶を噴いた(作者談) ~11話、バードン戦終了後~ リンディ「じゃあこれからは、ウルトラ兄弟の皆さんも協力してくれるんですね?」 ミライ「はい、確かにそう言ってくれました」 アルフ「いやぁ~、頼りになる味方が増えて助かるよ」 なのは「きっと今も、怪獣や超獣と、一生懸命戦ってるんですよね……」 ミライ「うん。 この世界の為に、きっと今も兄さん達は……!!」 その頃、噂されてるウルトラ兄弟の一人はと言うと。 セブン「あ、舘さん。 それロンです」 欽ちゃん「お前、喋れんの!?」 セブン「メンタンピン、ドラ3。 12000です」 元気に、ジョージアのCMで麻雀やってました。 セブン「ちなみに今は、登山にも挑戦中だ」 ゾフィー「それより地球を守れや、オイ」 目次へ